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「音楽の売上減少に、ファイル交換の影響はなし」--米調査

John Borland(CNET News.com)2004年03月30日 21時01分
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 米の研究者らが、オンラインでのファイル交換と音楽販売の関係を探る調査を実施したが、その結果、近年減少の続くCDの売上にはほとんど影響を及ぼしていないことが明らかになった。

 ハーバード大学とノースカロライナ大学の研究者らが米国時間29日に発表したこの調査は、2002年に17週間にわたって音楽ファイルのダウンロード状況を追跡し、やりとりされたファイルのデータと、ダウンロードされた個別の曲やアルバムの実際の売上データとを比較したもの。

 この報告書のなかで、調査を実施した研究者らは、「オンラインで頻繁にファイル交換された曲でも、アルバム販売にはほとんど影響が見られず、その影響は統計的に見てほとんどゼロといってもいい程度だった」と述べている。

 「ファイル共有がCD販売に及ぼす影響は限定的なものに過ぎないことが分かった」と研究者らは述べ、さらに「ファイル交換による音楽ダウンロードが大規模に行われているのは事実だが、ユーザーのほとんどは、ファイル共有という手段がなければアルバムを購入する、といったタイプの人たちではなさそうだ」と付け加えている。

 この調査は、ファイル共有ネットワークから直接集めたデータを使った、最も詳細な経済モデル調査だ。KazaaやMorpheusなどの広く利用されているファイル交換ソフトが慢性的な不況に苦しむ音楽ビジネスに、どれほど影響しているかについては、以前から議論が繰り返されてきたが、今回発表された調査結果がこの議論に再び火を付けることは間違いない。

 過去数年間、大手レコードレーベル各社の売り上げは急激に減少しており、各社はその原因の多くが野放図にはびこるオンラインでのファイル交換にあると非難している。これに対して、景気後退期には家庭が支出を抑えることや、DVDやテレビゲームのような他の娯楽との競争が激化しているといった追加要因を挙げる者もいる。DVDやゲームは、レコード業界が苦しんでいる間にも、大きな成長を遂げている。

 ファイル交換ソフトを提供する各社の幹部は、この調査結果を歓迎し、音楽配信チャネルとしてPtoPネットワークを使うことに後ろ向きなレコード会社の幹部を説得するのに、これが役立つだろうと述べている。「発展途上にあるPtoP業界を調べた、信頼のおける調査を歓迎する。また、この調査ではいくつかの興味深い問題も網羅されているようだ」とKazaaを所有するSharman NetworksのCEO、Nikki Hemmingは述べている。「レコード業界が我々のような企業と戦うのをやめて、代わりに手を組めば、どんな可能性が生まれるかを考えてみよう」(Hemming)

 この調査はハーバードビジネススクールの准教授Felix Oberholzerとノースカロライナ大学チャペルヒル校の准教授Koleman Strumpfが2002年後半に実施したもので、2台のOpenNapサーバのログを使って、17週間のサンプル採集期間中に行われた約175万件のダウンロードを分析している。

 このサンプル分析からは、経済面とユーザー行動の面で、興味深いデータが得られた。たとえば、平均的なユーザーは同期間中にわずか2度しかファイル交換ネットワークにログインせず、またダウンロードした曲数もおよそ17曲だった。だが、この平均を大きく上回るユーザーもおり、なかには71回もログインして5000曲以上もダウンロードした猛者もいた。

 調査にあたった2人の研究者は、さまざまなジャンルの売上チャートから500枚のアルバムを無作為に選び、その後これらのアルバムの売上枚数と対応するダウンロード回数を比較して、サンプルを絞り込んだ。

 その結果、たった1枚のCDに取って代わるのに、およそ5000回ものダウンロードが必要になることが分かったと研究者らは記している。この点をふまえると、全世界では膨大な数の音楽ファイルがダウンロードされているが、過去数年間を通じてそれがアルバムの売り上げ減少に及ぼした影響はほんのわずかなものでしかないということになるという。

 さらに、こうしたデータの分析から、ファイル交換によるダウンロードがチャートの上位にならんだアルバムの売上にプラスの影響さえ与えている可能性も示されたという。

 ファイル交換がレコード売上の減少に及ぼす影響を取りあげた各種の調査では、これまでプラス/マイナス両方の影響が示されていた。

 全米レコード協会(RIAA)は、今回の発表にただちに反応し、これまでの調査結果との一貫性に欠けることを理由に、研究者らの主張を退けた。

 「Edison Research、Forrester、University of Texasをはじめとする、高い評価を得ている数多くのグループやアナリストらがみな、違法なファイル交換がCDの売上にマイナスの影響を与えているとの結論を出している」と、RIAAの広報担当、Amy Weissは声明のなかで述べ、さらに「我々が独自に行った調査では、ダウンロードした曲数が多い者ほど、お金を払って手に入れることは少ないという傾向が明らかになっている」と付け加えている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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