カナダでもファイル交換利用者に対する著作権侵害訴訟が間近に

John Borland(CNET News.com)2004年02月17日 18時35分

 米国で数百人のコンピュータユーザーに対して起こされた著作権侵害訴訟と同様の訴訟を起す予定のカナダの音楽業界は、訴訟資料を集めるため、ファイル交換者29名の身元情報の開示を求める訴えを裁判所に起こす。

 カナダの音楽業界団体Canadian Recording Industry Association(CRIA)は13日(米国時間)、カナダのインターネットサービスプロバイダ(ISP)5社に対し、加入者29名の身元情報の開示を求める訴えを先週末に裁判所に行ったと発表した。同団体は、大量の音楽をアップロード可能な状態にしたユーザーを著作権侵害で提訴する予定で、今回の申し立てはその際に使用する訴訟資料の収集が目的という。

 CRIAのBrian Robertson会長は声明の中で、「この29名のユーザーはそれぞれ、数千曲とは言わないまでも、数百曲の著作権で保護されている音楽ファイルを、数百万人の未知のユーザーに違法に配布している」と述べ、さらに「明らかに、彼らはアーティストのキャリアや音楽を露骨に食い物にしており、今後音楽がどこから生み出されるのかについて関心がないようだ」と語った。

 CRIAは以前、米国の音楽業界団体である全米レコード協会(RIAA)にならい、法的措置に踏み切る可能性があると警告したが、同国の著作権監督機関が下した結論によって、カナダのファイル交換をめぐる問題は混迷の様相を呈した。

 カナダの最高著作権監督機関であるカナダ著作権委員会(Copyright Board of Canada)は昨年12月、Kazaaなどのファイル交換サービスを利用して音楽ファイルをダウンロードする行為は、営利目的ではなく、あくまで音楽を個人的に使用することを目的としており、カナダの現行法の下では合法と考えられる、という判決を下した。ただ、音楽ファイルをアップロードしたり、他のユーザーと共有する行為は法の保護の対象にならないと指摘した。

 同委員会によるこの判断は、著作権を侵害されたレコード会社やアーティストを補償するために、空の記録媒体に課す料金をどの程度にするかについての裁定の中でなされたものだが、CRIAの弁護士によると、同協会は当時この判断に反対したという。しかしCRIAが現在進めている法的措置を見ると、同協会は音楽ファイルのダウンロードしているユーザーではなく、あくまでアップロードしているユーザーのみを標的としているように見える。

 CRIAもRIAAと同様、著作権侵害行為の中でも最も悪質なケースに対する判断を望んでいる、とRobertsonは語った。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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