ウインドリバーは3月23日、先月米国にて発表されたRed Hatとの提携やVxWorksの最新版について解説すべく、日本国内にてプレスセッションを開催した。概要は既報のとおりだが、ここでは前回取り上げなかった同社の新しいライセンスモデルについて解説しよう。
ウインドリバーでは、これまで2とおりのライセンスモデルを提供していた。1つは開発プロジェクトごとにライセンス料が発生する方式で、顧客は規定した各プロジェクト1つ1つに対してライセンス料を支払うというもの。このライセンスは、ライフタイムで有効になるのだという。もう1つのモデルは、エンタープライズライセンスというもので、企業単位もしくは事業部単位の年間ライセンス契約だ。このなかには、ウインドリバーが提供する組み込みOSのVxWorks、開発フレームワークのTornadoなどの年間ライセンスと、これらを利用してベンダーが販売する製品の出荷数に応じて課金されるプロダクションライセンス料が含まれる。
ウインドリバー セールス&マーケティング本部ストラテジックマーケティング部部長 宮園充氏 |
ウインドリバーが新たに追加したのは、エンタープライズライセンスの新しいモデルだ。従来のエンタープライズライセンスでは、開発ライセンスとプロダクションライセンスの両方を支払わなくてはならなかったが、新しいオプションとしてプロダクションライセンスを無料にするというモデルが加わった。同社セールス&マーケティング本部ストラテジックマーケティング部部長の宮園充氏によると、プロダクションライセンスが無料となる分は開発ライセンス料が引き上げとなるため、実際に顧客が支払うコストは変わらないというが、プロダクションライセンスは直接製品コストに結びつくため、製品コストを抑えたい顧客にとっては、経費精算が可能な開発ライセンス料が高くともプロダクションライセンスが無料であるほうがありがたいのだという。
同社がこの新しいライセンスモデルを提供する背景には、特に日本で数多く採用されているiTRONなど、非商用製品が採用されるケースが多い点にある。「こういった製品を選択する顧客は、プロダクションライセンスが発生するというだけでウインドリバー製品を検討対象外としてしまうため、顧客層を広げることがねらいだ」と宮園氏は説明する。
宮園氏によると、同社の提供する組み込みOSの世界市場におけるシェアは約3割から4割程度だという。さらに同氏はEvans Dataの調査を元に、組み込み分野におけるLinuxのディストリビューションではRed HatがMonta Vista以上のシェアでトップを走っている点を指摘。今回のRed Hatとの提携や新しいライセンス体系の導入で、同社はさらに組み込み分野での存在感をアピールしたい考えのようだ。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」