シスコシステムズは23日、同社の提唱するAVVID(Architecture for Voice Video Integrated Data)をもとにした製品群を発表した。AVVIDとは、音声からビデオデータまで、すべてのサービスをIPネットワーク上で実現するためのアーキテクチャだ。
今回発表された製品群は、AVVIDの2つめのVであるビデオコミュニケーションを実現するCisco VT(ビデオテレフォニー)Advantage、IPテレフォニーの呼制御サーバCisco CallManagerの機能強化版である4.0、ソフトウェアベースのVoIPアプリケーションCisco IP Communicatorだ。VT Advantageは今年上半期中にリリース予定で、CallManager、IP Communicatorは今年第2四半期にリリース予定。さらに同社では、AVVIDを活用したシステムとしてカラータッチスクリーンIPフォンであるCisco IP Phone 7970Gを昨年12月から、
Cisco SystemsプロダクトマーケティングディレクターのHank Lambert氏は、これまでビデオ電話が普及に至らなかった理由として、設定や使い方が難しかったこと、高価で信頼性が低かったこと、ビデオの画質が悪かったことなどをあげる。同氏によると、シスコの提供するVT Advantageはこれらの課題を克服するもので、「使い勝手は通常の電話と同じ。カメラはUSBで簡単に設定でき、IP網を利用するためコスト削減もできる。ビデオの画像もテレビと変わらない品質だ。CallManagerと組み合わせて利用することで、高い信頼性が得られるとともに、他のIPシステムとの統合も可能だ」とアピールする。
CallManagerで信頼性と統合性が実現できるのは、4.0で新たにセキュリティ機能と相互運用性が向上するためだ。セキュリティ機能の強化としては、Cisco Security Agentとよばれるホストベースの侵入防止システム(IPS)がバンドルされる。このシステムは、攻撃のシグニチャ照合ではなく動作そのものを分析することで、ワームの侵入防止、OSの完全性保証、ウェブサーバの保護などが実現できるという。また、ITU(国際電気通信連合)標準の電子鍵証明書X.509v3や、証明書信頼リスト(CTL:Certificate Trust List)などもサポートするという。
相互運用性の強化においては、VoIP用の通話制御プロトコルであるSIPや、構内交換機(PBX)システム用の世界的なシグナリング規格であるQ.SIGを基本機能としてサポートする。これにより、既存のPBX機器や財務システムとの相互運用が可能となるだけでなく、各社のSIPプロキシサーバや様々な通信システムとも相互運用が実現できるという。また、H.323にも対応しており、既存の通信手段を収容することが可能だ。
シスコシステムズ市場開発IPコミュニケーションズ部長代理の小澤貴子氏によると、ワールドワイドのエンタープライズIPテレフォニーの市場規模は2007年には60億ドルに達するとみられているという。そのうち日本においての市場規模は、2004年で2億8200万ドル、2007年で4億4500万ドルとされており、最終的にほとんどの企業内コミュニケーションはIPへとシフトしていくと予想されているという。
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