IT業界のなかで、これまで独りカヤの外という感じで業績の回復が遅れていた情報サービス業界にようやく回復の兆しがみえはじめている。株価面では依然として出遅れている銘柄も多いだけに、妙味がありそうだ。
3月10日に経済産業省が発表した「情報サービス業」の1月売上高の合計金額は、前年同月比2.0%増と4カ月連続の増加となった。その内訳を見ると「ゲームソフト」が同66.2%増と大幅な増加を見せ、「ソフトウェアプロダクト」が同13.2%増となった。また、これまでも比較的好調な推移をみせてきた「システム等管理運営受託(情報システム運用のアウトソーシングが主体)」も14.3%増と増加傾向を維持している。
さらに、金額的に全体の約60%を占める主力の「受注ソフトウェア」では、通信業向けがやや減少しているものの、官公庁向け、金融業界および製造業向けが増加したことから、同0.8%増と小幅ながら2カ月連続の増加を確保した。
これまでIT関連産業の多くが、程度の差こそあれ回復軌道を描きはじめているなかで、情報サービス産業だけが取り残されている感が強かった。これは、多くの企業がITバブル崩壊の後遺症で情報化投資に慎重な姿勢を崩していなかったことが一因だ。その結果、競争入札や相互見積もり方式の導入で同業他社との価格引き下げ競争も激化し、情報サービス産業の採算も極端に悪化した。また、すでに受注済みの大型案件も、客先の事情で再検討・凍結・延期となるケースが相次いでいたのだ。ところが、銀行の抱える不良債権処理に終息ムードが広がり、大手銀行の株価が予想以上の回復をみせるなかで、金融機関を中心にこれまで凍結されていた情報化関連の設備投資マインドにも徐々に雪解けの雰囲気がではじめている。
主力の「受注ソフトウェア」の伸びは依然として小幅に止まっているものの、一部には受注単価に下げ止まりの兆しが出始めているという。一方、情報システム運用のアウトソーシングが主体とみられる「システム等管理運営受託」については、2カ月連続して前年同月比で2ケタの増加となっている。
個別企業で注目したいのは、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を展開しているCSK、TISといった企業だ。BPOは従来のアウトソーシングと異なり、一連の業務を一括して運用するもの。BPOを利用することで、企業は自社のコア業務に集中できるとしてこのサービスは注目をあびつつあり、こういったサービスを提供する企業は中期的視点に立てば収益の向上が見込めそうだ。
情報ソフト会社の代表銘柄であるNECソフトの株価も2月下旬の底値圏の2500円水準からようやく上昇の兆しをみせはじめ、ここにきて3000円台の回復をうかがう戻りをみせている。さらに、住商情報システムも3月初の2800円レベルから、直近では3200円をクリアしてきている。
今期の2004年3月期の業績で大幅な減額修正が相次いだ情報サービス関連セクターだが、来期の2005年3月期の業績について、どういった内容の予想を示してくるかに注目が集まっている。
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