米国時間2日、米国中西部最大の電力会社が、ある未公開の新興企業とジョイントベンチャーを立ち上げ、消費者向けに家庭内のコンセントを通じたインターネットアクセスサービスを提供していくと発表した。
Current Communications GroupとCinergy Broadbandは2日、米国ではほぼ初めてとなる電灯線ブロードバンド(Broadband over Power Line:BPL)技術を利用したネットワーク接続サービスの、大規模な展開計画を発表した。同サービスは、消費者が建物内部のコンセントに接続するだけでインターネットにアクセスできるようにするもので、低価格と利便性向上を約束している。
同ジョイントベンチャーはCinergyが電力を供給するオハイオ州、インディアナ州、およびケンタッキー州の150万世帯の顧客に対し、ブロードバンドと音声のバンドルサービスを提供する。同社はさらに、米国2400万世帯の顧客をカバーする規模の小さい市営や共同運営の電力会社にもBPLを展開する。同サービスは現在、14カ月の試験サービスを経てオハイオ州シンシナティ地域でサービスが始まろうとしている。
電灯線を使ってインターネットにアクセスするという概念自体は何年も前からあったものだ。電気はインターネットの信号より低い周波数で伝わるため、両者は同じ回線上でも干渉せず共存することができる。
さらに、電灯線が魅力的なブロードバンド伝送システムとなる理由のなかには、これらの配線が既に済んでおり、ケーブルテレビや電話よりも多くの家庭をカバーできるという点もある。しかし、この技術は技術的課題とサービス提供コストの高さからまだ定着していない。
だが、半導体技術の進化により、壁のコンセントに差し込めるBPLモデムの価格が劇的に低下し、現在1台当たり30ドルほどで手に入るようになっている。この価格低下が同技術の普及に役立っている。
さらに、同技術には連邦政府の後押しもある。連邦通信委員会(FCC)は先月、電力供給網でのBPL導入を促進するための規定を提案した。FCCは、地域電話会社がコントロールするDSL(デジタル加入者回線)や、ケーブルテレビ各社によるケーブルモデム技術以外の選択肢として、BPLが普及することを望んでいる。
FCCはまた、電力会社各社がサービスプロバイダーと提携し、全米の電力供給網を利用して、ブロードバンドプロバイダーの数が少ない、もしくは全くない地域も含むすべての地域に、高速インターネットアクセスを提供してくれることを期待している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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