「シェア争いより市場拡大がミッション」:ベリタスソフトウェア木村社長 - (page 2)

藤本京子(CNET Japan編集部)2004年03月17日 19時44分
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ユーティリティコンピューティング戦略、他社との違いは?

---ベリタスの戦略の柱に、ユーティリティコンピューティングがあります。他社も同様のコンセプトを打ち出していますが、他社との違いは何なのでしょう。

 ベリタスは中立的なソフトウェアベンダーであるため、われわれの提供するソリューションはすべてのプラットフォームをサポートできる点が他社とは違います。通常企業内では、ある部門でWindowsシステムを採用し、別部門ではSolarisを採用しているといったケースも多いのが現状です。このような環境でも、ベリタスのソリューションはすべてをまとめて管理することができ、しかも全く同じGUIで管理できるのです。そこに新しいシステムが追加されても状況は変わりません。

 ユーティリティコンピューティングでは、システムをひとつずつまとめ、全体を統一する必要がありますが、巨大なシステムほどそれは大変なことなので、ステップごとに動く必要があります。ベリタスは、ストレージからサーバ、アプリケーションまですべてあわせて、アベイラビリティ、バフォーマンスなどの管理ができますし、またステップ・バイ・ステップで企業の状況にあわせて現状のシステムをひとつずつまとめることができるといった強みがあります。

 ハードウェアメーカーとの違いもはっきりさせなくてはならない部分です。社内システムをすべて同一メーカーのハードウェアで統一すれば、ユーティリティコンピューティングの実現も簡単なことかもしれません。しかし、それでは既存システムの資産が生かせませんし、現実的な話ではありません。いま現在使っているOSやハードウェアの資産でソリューションが動かなくては意味がないですから。

---しかし、最近ではハードウェアメーカーも自社製品ですべてを統一してもらうことは困難だと考えているようで、他社製品もサポートするとアピールしています。そうなるとベリタスと競合してしまうのではないでしょうか。

 例えばE社やH社というハードウェアメーカーが、お互いの競合製品を完全にサポートするソフトウェアを提供できるものでしょうか。現実問題としてありえないと思うのです。両社で提携関係を結んでいるわけでもなく、お互いの機器を公開しているわけでもありませんから。そのような状況で他社のハードウェアをどうサポートするのか、疑問です。

 ただ、ハードウェアメーカーが何をすべきか、ソフトウェアメーカーが何をすべきかという観点ではなく、先ほども言ったように、この市場を作り上げることが重要だと思います。ユーティリティコンピューティングというソリューションで、オープンな環境の下、安全で効率的なデータ管理が実現できるのだということを、顧客にまず理解してもらわなくてはいけません。市場を広げるべきだということを、ハードウェアメーカーにもわかってもらいたいですね。まだ市場が十分成熟していない構図の中で、供給者側がシェア争いを繰り広げるという事態は避けるべきだと思います。土俵を置くべき場所は、オープンなIT環境を提供し、市場を創出するというところにあります。

 いまの企業システムの状況は、メインフレーム上で行われていた処理が徐々に分散処理へと移行し、要所要所で効率のよいシステムができあがっているという段階です。しかし、気がつくと誰もコントロールできないほど様々なプラットフォームが入り込み、どのように統合すればよいのかわからなくなってしまいました。システムを次々に投入した結果データの互換性がなかったり、プラットフォームが違うと同じアプリケーションが動かなかったり、OSが違うと同じGUIが実現できなかったりといった問題点を抱えているのです。こういった課題を乗り越え、完全なオープン環境を実現しないと、メインフレームから分散環境に移行した意味がありません。ここがいま多くのIT供給メーカーが乗り越えられていない部分です。ベリタスのような会社が、ハードウェア、OS、アプリケーションに依存せず、全体の環境の中でデータを管理していくと訴えていますが、そういう企業はあまりないのが現状です。

 ハードウェアメーカーは、われわれとは180度違った位置づけでコンセプトを打ち出しています。これはIT供給者が行うべき事に違反しています。90年代にメインフレームを分散システムに持ってきたまではよかったのです。これが成功事例となり、今度はその成功に依存するかたちになってしまいました。ITベンダーはそれを乗り越えなくてはいけません。ばらばらのハードをひとつにまとめようと、力づくでやって本当によいのでしょうか。どのハードであっても、どのOSであっても、どのアプリケーションであっても動くようなデータ管理をする、これが本当のオープン環境です。

 これが実現できた時点で、ベンダーには緊張感が生まれます。どのハードでもOSでもよいとなると、ユーザーは一番よいものしか使わなくなりますから。いつでも入れ替え可能ですしね。入れ替えたとしてもコンピュータ資産は変わらない、これが本当のユーティリティコンピューティングです。

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