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「シェア争いより市場拡大がミッション」:ベリタスソフトウェア木村社長

藤本京子(CNET Japan編集部)2004年03月17日 19時44分
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 2003年は、ストレージ業界で数多くの買収劇が見られた1年だった。特に目立ったのはハードウェアベンダーによるソフトウェアベンダーの買収で、ハードウェア企業とソフトウェア企業の境界線があいまいになりつつあるようにも見える。そんな中、ベリタスソフトウェアは「ハードウェアベンダーとはコンセプトが違う」という立場を取り続けている。あらゆるプラットフォームをサポートするというオープン性を推進し、「われわれはシェア争いをするべきではない、市場拡大に注力すべきだ」と、ストレージ市場そのものの活性化を呼びかけている。

 2003年度の売上高が17億7000万ドル(※)となり、2004年には20億ドルの達成を目指すベリタスソフトウェア。この目標を達成するための同社の戦略はいかなるものなのか。また、ハードウェアベンダーとはどのように差別化を図っていくのだろうか。特に日本での普及が遅れているといわれるストレージ業界での同社の取り組みを、同社代表取締役社長の木村裕之氏に聞いた。

※編集部注: 記事内の数値は3月17日現在の発表資料によるもの。米Veritas Softwareでは2001年から2003年における決算を修正中のため、後日この数値は変更される可能性がある。

---1月末に米国で2003年度の決算が発表されましたね。第4四半期の売上高は前年同期比で26%増とのことですが、伸びが顕著だったのはどの分野だったのでしょう。

 伸び率としては、クラスタリングやレプリケーションなど、われわれが社内でいうところのエマージング分野が伸びています。しかし、コア分野としているストレージの基本的な管理部分、つまりボリューム管理やバックアップ製品なども伸びていないわけではありません。第4四半期の詳細データはまだ出ていませんが、第3四半期の数字を参考にしていただくと、コア分野の収益は2億3000万ドルで伸び率が前年比9%です。エマージング分野の収益は4900万ドルと数字は小さなものですが、伸び率が前年比63%となっています。また、製品のアフターサービス、コンサルティング、教育といったサービス分野も着実に伸びています。

 ちなみに、昨年7月からベリタスの傘下に入ったPrecise Softwareからの収益は1100万ドルです。これはアプリケーションレベルでのパフォーマンス管理をするもので、これまで取り扱っていたレイヤーより上の層を管理することになります。この分野の売上は今後も伸びると思われます。

---プラットフォーム別の売上はどのようになっていますか。

 これも第3四半期の数字となりますが、Solaris、HP-UX、AIX、Linuxを含めたUnix全般が全体の52%、Windowsが39%、マルチプラットフォームが9%です。Unixの中では、Solarisの比率が半分以上を占めていますね。次にHP-UX、AIX、Linuxと続きます。Linuxの比率はまだ10%に達していません。ただLinux、AIXは伸び率が他のプラットフォームと比べてかなり大きいですから顧客が注目していることは実感します。

---世界全体の売上に対して、日本の売上の比率はどの程度なのでしょう。また、どの程度まで比率を引き上げたいと考えていますか。

 おおざっぱな数字になりますが、現在は5%弱程度です。目標としては、なるべく早く10%に到達したいと考えています。ストレージ業界の中では他社の状況を見てもそう大差はなく、5%でもかなり健闘している方でしょう。ストレージ市場そのものが日本はまだ成熟していませんからね。日本の場合、ストレージはまだサーバの付属物的な存在としかみなされていません。こういった状況ですから、パイ自体が小さな日本のストレージ市場でシェアの奪い合いをしてもあまり意味がないと思うのです。われわれの役目は、まずこの市場を作りあげ、全体のパイを増やすことだと思います。

---ストレージの市場が日本で育たないのはなぜでしょう。また、ストレージを活用して企業が進むべき道などがあれば教えてください。

 日本はメインフレームの減少率が一番低く、ストレージが普及しない要因のひとつもそこにあると思います。また、SIerに対して企業単位ですべてを丸投げするケースが多いことも原因でしょう。部門ごとでばらばらにSIerへの依頼をする企業もあるほどで、これでは企業全体のシステムがどうなっているのか誰もわかりません。その点、米国では企業システム全体を理解しているCIOが存在し、ビジネスを支えているのがわかります。

 ただ、日本でも最近そういったCIOが出現しつつあり、そのような企業が勝ち組とされるようになってきました。たとえば企業がグローバル化する場合、システムもビジネスの拡張に合わせて柔軟に変化できることが大変重要となります。勝ち組企業は、データをどのように管理し、どのように攻めていくのかを戦略的に考えており、さらにデータ保護の対策もしっかりしています。どのような災害が起ころうとも、バックアップやレプリケーション、クラスタリングでデータを保護しているのです。このようなベースがあってこそ、攻めの体制の準備が整ったといえるのです。こういった戦略的なシステムを持つ企業と持たない企業の差がこのところ目立ってきました。活躍している企業ほどIT投資も増やしています。オープンなITインフラに投資できる先見性のある企業は今後も伸びるでしょう。

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