Linuxや他のオープンソースソフトとの競争が激化するなか、企業は「値引き無し」の方針を掲げるMicrosoftとの間で、有利な取引ができるようになっているらしい。
ソフトウェアベンダー各社や業界アナリストらによると、MicrosoftはLinuxやその他のオープンソースソフトからの攻勢に負けまいとしており、その影響で顧客企業はMicrosoftとのライセンス交渉を有利に進められるようになっているという。
Sun Microsystems公共部門担当ディレクターのCharles Andrewsが、ZDNet UKに語ったところによると、競争激化からすでに価格が低下しており、政府の各部門はこれまでソフトウェアライセンスに費やしていたお金を、各種のサービスに回せるようになったという。「我々はさまざまなプロジェクトで政府の仕事をしているが、競争が激化した結果、市場価格や実売価格に変化が起こっている。政府や市民の側からすると、法外な料金を取られずに済んでいるということになる」(Andrews)
Microsoftが1月にWindows 98のサポートを延長すると発表した際、アナリストらは、民間・公共の両部門で、同社の顧客がLinuxへの切り替えを考慮するのではないかと、同社が不安に思ったことを理由に挙げていた。
英国政府は、Microsoftによるデスクトップソフトウェアの事実上の独占という問題に、ますます多くの関心を払っており、公正取引庁(OFT)は今月初め、政府調達における実態の調査に乗り出している。Sunによると、この動きは納税者がMicrosoftから「ぼったくられ」ないようにするためのものだという。
OFTの調査結果は7月に発表されることになっており、調達に関する慣行が競争に対してどのような影響を与えているか、新規参入企業への妨げになっていないか、技術革新を奨励しているかなどについて、結果を明らかにすると見られている。NHS(国民健康保険)など国や地域の政府部門の多くが、SunのLinuxベースのJava Desktopをはじめとする、Windowsに代わる選択肢を評価しつつあることから、ハードウェアやソフトウェアへの支出は、この調査で重要な役割を果たすだろう。
調査会社RedMonkの主席アナリスト、James Governorは、Microsoftが利幅に関して「打撃を受ける」と予想しており、そのためいまは有利な取引を決める交渉のチャンスだと述べた。「ライセンス問題については、現在Microsoftはやりたいようにできる状況にはない。同社はソフトウェアの価格について、ユーザーからの圧力に応じており、今後もこの状態は続くだろう。これまでMicrosoftとは交渉の余地がないと感じていた顧客にとって、デスクトップにおける本当の競争が起こっているいまこそ交渉のチャンスである。これは顧客にとっていいことづくめの状況だ」(Governor)
Microsoftのライセンスマーケティング担当マネジャー、Mark Buckleyは割引が提供されているという話を否定したが、しかし場合によってはタイプの異なるライセンスを提示して「自社ソフトの価値を証明して」いることは認めた。同氏はZDNet UKに対し、「我が社では割引は行っていない。我々は自社製品の価値を示すようにしている。これは割引ではなく、市場に対して我々の活力を証明するためのオファーだ」と述べた。同氏によれば、ライセンス費用は、ソフトウェアのTCOのなかで僅かな部分を占めるに過ぎず、ソフトウェアの切り替えにともなうハードウェアやアプリケーションの変更費用を考えると、手持ちの製品を使い続けたほうが安く済むという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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