IBMによる自己管理できるシステムを構築する取り組みは、同社での設計段階を終え、商用技術開発の段階に進もうとしている。
IBMは、プログラマが自己管理型(オートノミック)機能をアプリケーションに組み込むことを可能にするオープンソースのツールキットを、米国時間16日に発表することになっている。IBMの「Autonomic Computing Toolkit」は、Eclipse開発環境の無料アドオンとして、同社のDeveloperWorksウェブサイトで提供される。IBMでは、ソフトウェアメーカーや企業の社内開発者の間で、同ツールが使われると見込んでいる。
オートノミック・コンピューティング(自律型コンピューティング)関連の研究に由来するコードを発表する場として、IBMはこれまで試作段階のソフトウェアを紹介するAlphaWorksというサイトを利用してきた。同社オートノミック・コンピューティング部門責任者のDavid Bartlettによれば、DeveloperWorksサイトへの移行は、このソフトウェアがIBMによって十分にテストされ、サポートされていることを意味するものだという。同氏は、IBMが将来同ソフトウェアに課金する可能性もあると述べている。
2001年に開始された、IBMのオートノミック・コンピューティングの取り組みは、分散コンピューティングシステムの一部として自らを監視、管理できる「インテリジェンス」を備えたハードウェアとソフトウェアの構築を目指している。オートノミック・コンピューティングは、システム管理者の必要性を減少させることで、コンピュータを運用する際のコストや複雑さを軽減するというもの。
Autonomic Computing Toolkitは、IBMの問題解決用と監視用のソフトウェア・アップデートを含む、同社の一連のツールの最新バージョンをまとめたものだ。同キットには、複雑な状況でのソフトウェアのインストールを簡素化するツールも付属している。また、IBMはいくつかのアプリケーションで使用できる表示コンソールを構築するためのシステムも開発した。
システムのオートノミック機能を標準的な状況で使うためのチュートリアルやサンプルコード、パターンも、同ツールキットに付属している。同ツールによってプログラマは、障害サーバを回復させたり、問題の原因を特定するためにログ情報の相関を取るというような、特定の作業を自動化できる。
IBMがオートノミック・コンピューティングを推進する目的の1つは、共通データフォーマットを定めることで、これによりさまざまなメーカーの装置が運用情報を共有できるようになる。IBMはこの取り組みの一環として、昨年、複雑なシステムの不具合を特定し、報告するための「Common Base Event」フォーマットを標準化団体のOASIS(Organization for the Advancement of Structured Information Standards )に提出している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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