Sun Microsystemsは、同社のUnixオペレーティングシステム(OS)の次期バージョン、Solaris 10の一部を先行公開した。これには、メインフレームで使用される論理パーティションより大幅に優れると同社が語るパーティション技術が搭載されている。
Sunは先週、四半期毎に実施され、今回はUltraSparc IVとOpteronサーバの発売イベントも行われた製品発表会で、新しいSolarisに搭載される数百種類もの機能を大々的に宣伝した。SunはN1 Grid Containersパーティションシステム以外にも、DTraceダイナミックトレーシングツールと、セキュリティ機能および自己回復機能の詳細を明らかにした。
これまで「ゾーン」と呼ばれていたGrid Containersは、ユーティリティコンピューティングに対するSunの回答の一部だ。ユーティリティコンピューティングの目指すビジョンは、部門ことに専用マシンを持つ既存のモデルと異なり、社内で処理するあらゆるタスクにそれぞれ必要な計算処理能力をダイナミックに供給するようになる。同一マシン上で1台のサーバの多数のインスタンスを実行する論理パーティションの場合とは異なり、コンテナを使えば1つのオペレーティングシステムの1つのインスタンスが、複数の独立したコンピューティング環境を実行できるようになる。
Sunによると、ユーザーはSolarisのインスタンスを1つだけ持っていれば、最大で4000ものコンテナをサポートすることが可能で、ライセンス料を削減できるのが利点の1つだという。同時に、コンテナでは論理パーティションのメリットもえられ、セキュリティ機能や処理性能が改善したり、帯域やメモリをダイナミックに割り当てられ、また障害が発生してもコンテナ外には影響が及ばないとSunは説明している。
Sunのミッドレンジおよびハイエンドのサーバでは既に、ハードウェアパーティションによって1つのシステム上でSolarisの複数のインスタンスを実行することができる。
Sunによると、同社のパーティション戦略にはライバルとの間に大きな違いが1つあるという。Solarisのパーティション機能は、SunのUltraSparcプロセッサを搭載した同社のサーバだけでなく、IntelのXeonやAMDのOpteronといったx86プロセッサを採用するサーバにも対応するという。
Grid Containers技術は便利だが得難い機能をIntelサーバに提供してくれるため、顧客がx86プロセッサでSolarisを採用する魅力的な理由になり得る。x86版SolarisはSun社内でも勢いがなく、Sunの製品ラインでもこの組み合わせよりLinuxの方が売れている。
IBMとHPも現在、LinuxもしくはMicrosoft Windowsを別々のパーティションで実行できるVMwareソフトウェアを利用して、Intelサーバ向けにパーティション機能を提供している。またMicrosoftでは、Connectixから買収したパーティション技術に取り組んでいる。
セキュリティと安定性
パーティショニングから得られるセキュリティ面のメリットに加えて、新しいSolarisには、アプリケーションや管理者による、メモリやハードウェアのようなシステムリソースへのアクセスをコントロールするSolaris Privilegesという機能も盛り込まれる。これはシステムに支障が生じた場合にその被害を限定する役に立つものだと、Sunでは説明している。
障害発生時の自己回復用として、Solaris 10にはDTraceというツールが盛り込まれる。これはオペレーティングシステム全体に3万のプローブを配置し、パフォーマンス障害の原因を素早く突き止めるというものだ。またPredictive Self Healingというツールは、メモリのようなコンポーネントの状態を監視し、障害が発生する前にこれを食い止めようとするもの。
Solaris 10のリリースは今年度第3四半期を予定しており、UltraSparc IVやOpteronを搭載したサーバ、Intel x86サーバ向けのバージョンが出荷されることになる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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