英国のハンドヘルドコンピュータメーカーであるPsionが、ワイヤレス端末用OSメーカーであるSymbianの株式をNokiaへ売却することで合意した。
英国9日に発表されたこの合意により、NokiaはSymbianの実質的経営権を握ることになる。さらに、これはPsionが家電製品市場で展開していくのではなく、自社のTeklogix事業部経由で企業向けの特殊用途向けモバイル技術製品の製造に専念していくことも意味する。
Nokiaは、Psionが保有するSymbianの31.1%分の株式に対して約2億5100万ドルを支払う見込みで、最初に手付け金として1億7370万ドルを支払い、2004年と2005年にSymbianデバイスの売上に応じた残金を支払う。これで計算すると、Symbian全体の価値は8億1000万ドルとなる。
2004年に5億5000万台以上の売上台数が見込まれる携帯電話業界だが、メーカー各社にとっては、今回の買収で新しいソフトウェアのサプライヤーの選択肢がNokiaとMicrosoftの2大ベンダーに狭まることになる。
Symbianの株主には、韓国の家電大手Samsung ElectronicsやドイツのSiemens、その他複数の電話機メーカーが名前を連ねている。今回の買収により、各社は重要なソフトウェアをライバルの支配下にある企業から購入せざるを得なくなってしまう。
デンマークのコペンハーゲン在住のモバイル通信コンサルタント、John Strandは、「Symbianに投資するほかの企業は、今後NokiaとMicrosoftのどちらと手を組むのか決めなくてはならなくなる。各社は板挟みの状況だ」と語った。
Symbianは、音声通話などの従来からある各種機能に加え、カレンダー、住所録、ゲーム、そして電子メールといったパーソナルコンピュータスタイルの機能を搭載する高機能モバイルスマートフォン向けオペレーティングシステムの開発では、突出した存在になっている。
同社は1998年6月にPsion、Nokia、Ericssonが共同で設立し、数カ月後にはMotorolaも株主となった。Symbianは、PsionのEPOCソフトウェアをベースにし、どの携帯電話メーカーでも利用できるオペレーティングシステムを作り出すことで、スマートフォン市場を牽引するはずだった。
だがその後、MotorolaがNokiaとPsionに自社保有株を売却してしまい、アナリストはこれを、スマートフォンのオペレーティングシステム市場がMicrosoft製もしくはLinuxベースなどの別のオペレーティングシステムに独占される兆候だと見なしていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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