KDDIが2003年11月から提供開始した定額制の高速データ通信サービス「CDMA 1X WIN」は、携帯電話の世界をどう変えていくのか。KDDI au事業本部 au事業企画本部 1xEV-DO推進室 室長の重野卓氏が2月5日、幕張メッセで開催中のNET&COM 2004で講演した。
CDMA 1X WINは携帯電話で初めて定額制を採用したサービスで、Eメールを含むEZwebの通信料を月額4200円に固定している。CDMA 1x EV-DOと呼ばれるパケット通信技術を採用しており、通信速度は下り最大2.4Mbpsとなっている。それ以前にKDDIが提供してきたCDMA2000 1xでは、下り最大144Kbpsだった。
KDDI au事業本部 au事業企画本部 1xEV-DO推進室 室長の重野卓氏 | |
---|---|
重野氏は、定額制がユーザーのストレスをなくし、新たなサービスや利用方法を生みだすと話す。
現在ユーザーは高額になりがちなパケット通信料を気にして、大きなストレスを抱えている。auの月内トラフィック量を見ると、月初めに急激に増えた後、月末に近づくにつれてだんだん少なくなっていくのだという。重野氏は「ユーザーは料金を気にしながら、セーブしてサービスを利用している」と分析。パケット料を定額制にすることで、ユーザーの満足度を高めることができるとともに、他の事業者に加入しているユーザーに移行を訴えることができると狙いを明かした。
さらに重野氏は、利用者が通信料を気にしなくなれば携帯電話を使って情報を受発信することが増えて、携帯電話はメディアとしての価値を高めていくと話す。これにより、動画などを利用した広告や、携帯電話を利用したリサーチ事業、物販などの新たなビジネスが広がるとした。
コンテンツプロバイダにとっても、定額制は新しいサービスの提供を可能にしたという。その例が同社の動画配信サービス、EZチャンネルだ。これは、通信量の少ない早朝・夜間に最大3MBの動画コンテンツをユーザーの端末に配信するサービス。重野氏によると、テレビのようにユーザーが受け身の姿勢でコンテンツを利用できる点が最大の特徴だという。
今まで携帯電話でコンテンツを見る場合、ユーザーは自分で欲しいコンテンツを探す必要があった。しかしEZチャンネルの仕組みを使えば、コンテンツプロバイダが見てもらいたいコンテンツを送信するプッシュ型配信や、常に最新の情報を端末に配信するバックグラウンド型配信が可能になる。
最後に重野氏は、通信ビジネスの変化についても言及した。携帯電話は今後、家庭や企業内LANなどの固定通信網とつながり、いつでもどこでもネットワークとつながるようになるという。携帯電話は情報家電などのコントローラとしての役割を果たすようになると予測し、「(月額固定料金の)4200円はユビキタスライフへの入場料だ」と今後の広がりに期待を寄せた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス