ブッシュ大統領は米国時間2日、総額2兆4000億ドルの連邦予算教書を議会に提出したが、IT関連とコンピュータ犯罪調査関連の予算が大幅な伸びを見せている。
過去最高額となる2005年会計年度(2004年10月〜2005年9月)の概算要求は、拡大の一途をたどる5210億ドルの財政赤字を無視し、防衛関連支出を7%、また国家安全保障関連の予算を10%増やすよう議会に求める内容となっている。
予算教書に添付された米議会への書簡で、ブッシュ大統領は、支出と税収の記録的ともいえる不均衡を認めた。「経済の成長と、市民の血税をうまく管理することで、景気後退と戦争によって生じた財政赤字の削減という、重要なもう一つの優先課題を解決したい。引き続き、各連邦プログラムを検討し、それらが確実に目標を達成し、望ましい結果を出せるかどうかを厳しく評価していく」とブッシュは述べた。
連邦のIT総予算は598億ドルになるが、これはブッシュ大統領が昨年要求した591億ドルをわずかに上回るものだ。このうち、最大の274億ドルが国防総省に、続いて50億ドルが保健社会福祉省、44億ドルが国土安全省に割り当てられることになる。
大部分の連邦機関の予算の伸びがわずか数%しか見込まれていないなかにあって、それぞれ約10%増が見込まれる司法省と国土安全省は例外扱いとなっている。
BlasterワームとSoBigウイルスについての情報を配布した、国土安全省の国家サイバーセキュリティ部門には、8000万ドルの予算が割り当てられる。
「インターネットや他のコンピュータシステムが、他の多くのインフラ部門を結びつける役割を果たしているため、サイバースペースのセキュリティを確保することは、これらのインフラを保護するうえで鍵を握る要素となっている。サイバー攻撃は経済全体にわたって連鎖的に影響を及ぼし、治安や国家の安全を危うくすることになる」とホワイトハウスが用意した分析のなかには記されている。
司法省の予算はおよそ221億ドルにも膨れ上がっており、FBIの予算は11.4%も増えている。そのうち約3500万ドルは、「総合テロリスト対策センター(Terrorist Threat Integration Center)」に充てられる予定だ。同機関は形のあまりはっきりしない組織で、CIAと情報を共有することになっており、市民権擁護派の人々に不安を与えている。企業の不正を調査する捜査部門には、145万ドルが割り当てられている。
司法省のサイバー犯罪関連予算は、2003年に議会が割り当てた1億5700万ドルから2億6500万ドルに急増した。児童ポルノや「児童の誘惑」を取り締まる、司法省の「児童に対するインターネット犯罪防止」(" Internet Crimes Against Children")プログラムには200万ドル増の1450万ドルが割り当てられている。
ホワイトハウスによれば、FBIのテロ対策費は、2003年の9億ドルから2005年は13億ドルに増額され、2004年の水準をおよそ3億ドル上回るという。この増額分は、テロ防止調査やサイバー犯罪防止のような一連の活動を支援するものとなる。
全米標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology:NIST)の予算について、ブッシュは4億9700万ドルから5億2200万ドルへの増額を要求。また特許商標局(PTO)は、2005年会計年度で、同局が見込んでいる15億ドルの出願料と関連料金収入の全額を維持することが認められた。
民主党議員らは、この予算案に対してすぐさま批判を浴びせ、雇用の創出には役立たず、代わりに記録的な財政赤字を生み出すものとし、また教育、医療、退役軍人への恩給、小規模事業者への対策などの面でも不足が見られると述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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