ミラクル・リナックスは1月15日、中国のRed Flag Softwareとの提携に関する記者説明会を開催し、デスクトップLinuxでの協業も検討していく考えを明らかにした。
Red Flag Softwareは、中国国内における大手Linuxディストリビュータ。両社は7日に、アジア市場に向けたサーバ用Linuxを共同で開発することに合意している。
Red Flagはサーバ用Linuxのほか、デスクトップ用や組み込み用のLinuxも開発している。Red Flagはミラクル・リナックスと共同で開発するOSの中核部分「Asianux」を、同社が扱う全てのLinuxの基盤として活用していく方針。ミラクル・リナックスは現在企業向けのサーバ用Linuxに特化しているが、今回の提携を受けてデスクトップLinuxへの参入を検討しているという。
ミラクル・リナックス代表取締役社長の佐藤武氏は、「テクノロジーとマーケットの両面から検討していく」と語る。特に市場のニーズが不透明なことから、マーケットの動向を見て判断していく考えだとした。
Red Hatと提携解消が協業の背景に
ミラクル・リナックス代表取締役社長の佐藤武氏(左)と Red Flag Software社長代理のChris Zhao氏(右) | |
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会場では、Red Flag Softwareとの提携に至った背景も説明された。佐藤氏は「アジア地域における低コストで信頼性の高い統一的な企業向けLinux OS環境が必要だ」と話す。サーバ用Linuxは現在バージョンが乱立しており、顧客の危惧を招いているというのだ。日中の大手ディストリビュータが1つのバージョンを共同開発することで、中国に進出する日本企業に日中の共通基盤を提供できるようになる。国内のLinux対応アプリケーションが中国でも使えるため、ソフトウェア開発事業者にもビジネス拡大のチャンスが生まれるという。両社にとっても、開発・検証期間を短縮できるというメリットがある。
ミラクル・リナックスは2003年6月2日までRed Hatと提携関係にあったが、現在はこの関係を解消している。「顧客に対するサポート体制など、企業向けLinuxに対する考え方に違いがあった」(佐藤氏)のがその理由という。Red Flagは中国においてOracleと協力関係にあり(ミラクル・リナックスは日本オラクルの子会社)、Red Hat Linuxをベースにサーバ用OSを開発していることから、提携相手として白羽の矢が立った模様だ。
5月末頃にサーバOSをリリース
両社はOSの中核部分となるLinuxカーネル、ライブラリ、パッケージ群を合わせて「Asianux」と名付け、すでに共同で開発に取り組んでいる。Asianuxはミラクル・リナックスのサーバ用OS「MIRACLE LINUX V2.1」とRed Flagの「Red Flag DC 4.0」をベースに開発されており、今後両社から出されるディストリビューションはすべてAsianuxを基盤とする。1月末にアルファ版、3月末にベータ版をリリースした後、5月末をめどに製品が出る見込み。製品名はそれぞれのブランド名で、MIRACLE LINUX V3.0、Red Flag DC 4.1として出荷される予定となっている。
開発は北京にあるオラクル中国開発センターで行われている。両社の技術者が共同で開発チームを結成し、Oracle製品やソフトウェア、ハードウェアの検証テストなども行っている。製品が出荷された後は、サポートセンターとしての役割も担う。
両社はそれぞれの国の市場において製品とサポートを提供するほか、特に政府機関への導入を強く働きかけていく。また、オープンソースで日中韓の連携が進んでいることから、韓国のLinuxディストリビュータにも参加を働きかけている段階とのことだ。
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