ラスベガスで開かれていたConsumer Electronics Show(CES)で、米Hewlett-Packard(HP)最高経営責任者(CEO)のCarly Fiorinaは米国時間8日、違法なコピー行為に対する全面的な戦いを宣言した。また、HPのデジタルエンターテインメント戦略の実現に一役買うことを期待する、新しいエンターテインメント向けの製品も発表した。
基調講演のなかで、Fiorinaは、デジタルコンテンツの違法なコピー行為に対する同社の姿勢を明らかにした。
「コンテンツを不正にコピーすることは、法律に違反しており、また道義的にも間違った行為だ。こうしたデジタル海賊行為を阻止するために、コンピューティング企業として我々に可能なことがある」(Fiorina)
また同氏は、今年から、自社のすべてのデジタルエンターテインメント製品に、アーティストの保有する著作権を尊重するソフトウェアを採用すると付け加えた。同社は活発に著作権保護運動を推進し、コピー防止を訴える団体、ならびに消費者団体との取組みを強化するとも述べた。
「エンターテインメント関連プロセスがすべて、デジタル化、モバイル化、仮想化しようとしている」(Fiorina)
違法なコピー行為に対するHPの姿勢は、アーティストらにとって重要なものだ。彼らはコンテンツを簡単にコピーしたり、配布できてしまえるデジタルメディアを、著作権に対する潜在的脅威とみなしている。
HPのスタンスに対する支持を表明して、Interscope Geffen A&M Records会長のJim Iovine、アーティストのDr. Dre、U2ギターリストのThe Edge、Sheryl Crow、Alicia Keys、Toby Keithや他の音楽関係者が、壇上のFiorinaに加わった。
HPは、またデジタルメディアをもっと気軽に楽しむことを可能にする、一連の新製品も初めて披露した。
同社のデジタルエンターテインメント戦略の中核をなすのは、HP Digital Entertainment Systemだ。これはハブ、デジタルディスプレイ、プロジェクター、音楽プレーヤー、携帯端末を含む一連のコンポーネントで構成され、コンテンツ企業もその開発に協力している。
Fiorinaの基調講演に先だって、この日HPは米Apple Computerと契約を交わしたことも発表した。HPは、この契約の下で、iPodの自社ブランド版となるハードディスク搭載型デジタル音楽プレーヤー販売することになるが、同社ではこの製品を「Digital Music Player」と呼ぶことになるという。この提携の一環として、HPは同社の個人ユーザー向けPCならびにデスクトップ機に、AppleのiTunesソフトウェアをプリインストールすることになっている。
この2つの発表は、家電市場への進出をはかるHPのより大きな取組みの一環となる。米Consumer Electronics Associationによれば、今年、家電市場は昨年より5%増の1010億ドルという記録的な売り上げが期待されているという。米Dellや米Gatewayなどの他のパソコンメーカーも、今後の成長を期待して家電市場に参入している。
これらのパソコンメーカーが、家電市場で期待通りの利益を手に入れられるかどうかは、現時点ではまだはっきりしていない。Gatewayでは先週前半に、年末商戦が思ったほど振るわず、第4四半期には予想より多額の赤字がでると警告を発している。
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