EUの行政部門である欧州委員会は、オープンソースソフトウェアに対する認識を高めることを狙ったウェブサイトを立ち上げた。同サイトはオープンソースを支援するEUの数多くの取組みの最新のものとなる。EU加盟国の多くは、オープンソースを、公共部門のコストを削減し、国内のソフトウェア業界を活性化し、プロプライエタリなソフトの制約のない、相互接続性を促進するものとして見なしている。
Free and Open Source Software(F/OSS)というこのサイトは、政府や社会におけるテクノロジーの影響に焦点をあてたECの「情報社会」プログラムの一環として、今月始めに開設された。同サイトは、オープンソースに関連してEUが進めている各種の研究プログラムや、電子政府実現の取り組みについての情報を網羅している。
「近年、F/OSSが登場したことで、ソフトウェア市場は一層流動的になりまた活況を呈している。F/OSSは、ソフトメーカーやサービスプロバイダに新たな機会を提供するが、これは欧州のソフトウェア業界にとって、またとない機会かもしれない」と、ECは同サイトのなかで述べている。
「フリーソフト」、「libreソフトウェア」とも呼ばれる、オープンソースソフトウェアを特徴づけているのは、特定の一社によって管理されていないということだ。プロプライエタリなソフトは通常、一社が厳重に管理しており、この点がオープンソースのソフトとは大きく異なる。
EUは、1998年以降、オープンソースの取り組みを数多く開始しており、現在第5次フレームワークプログラム(1998年-2002年)の下で、オープンソースを直接サポートする20の調査プロジェクトに資金を提供している。さらに、第6次フレームワークプログラムに備え、ECは相互接続性を保証する手段として、各国政府にオープンソースの使用を促進するように勧告した。
米Microsoftのようなソフトウェア大手の影響力を制限したいと思っている各国政府にとって、特にサーバプロトコルやドキュメントフォーマット分野における相互接続性は大きな関心事となっている。先ごろ出された、あるデンマークの調査報告は、新しいXMLベースのフォーマットを開発するか、OpenOffice.orgのフォーマットのような既存のオープンソースフォーマットをサポートすることで、EUがMicrosoft Officeフォーマットに代わるものを検討すべきだと推奨した。
特許法の修正をめぐる現在の議論は、提案された修正案が、欧州のオープンソースソフトウェア業界にどのような影響を及ぼすか、という点に集まっている。EU指令に批判的な人々は、そのオリジナル草案が、ソフトウェアの特許を奨励するものになり、それがオープンソースベンダーの息の根を止めることになると述べていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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