調査会社の米Gartnerは、ソフトウェアやビジネスの方法に適用する特許を限定するという欧州議会の決定は、「特許戦争」を引き起こす危険があるとの警告を発した。欧州の一部のEコマースサイトへ米国からアクセスすることが違法となるような副作用を起こしかねないという。
欧州議会は先月末、コンピュータを使った発明の特許取得に関する指令(Directive on the Patentability of Computer-Implemented Inventions)を可決したが、これには、ソフトウェアでの特許取得を限定する内容の修正事項が付け加えられている。
同議会は、純粋なソフトウェアは特許の対象となるべきではなく、ソフトウェアメーカーが相互運用性を目的に特許技術を用いる場合は、ライセンスの必要はないと主張している。例えば、特許取得済みのメディアフォーマットに対応する端末を製造したり、コンピュータプログラムでライバル企業が特許を取得しているファイルフォーマットを呼び出して書き込めるようにすることが、これによって認められる。
この修正事項は、それ以外にも、Amazon.comのワンクリック購入のようなビジネスメソッドの特許化も禁止する。米国では、ビジネスメソッドと純粋なソフトウェアは日常的に特許取得されているが、IT企業幹部やソフトウェア開発者、経済学者などは、競争と技術革新に悪い影響を与えるとして、この状況を厳しく批判している。
Gartnerは、欧州連合の特許システムは効力があるとしながらも、米国の法と調和していないことから生じかねない問題を指摘している。例えば、米国では特許を取得したEコマース技術を強制でき、いっぽう欧州ではそれを強制できないといった事態になれば、米国のユーザーは、その技術を用いたEUのWebサイトにアクセスすると、法を破ることになるという。
また、ZDNet UKの報道によると、米国政府もこの指令の修正事項への懸念を表明している。この修正事項に関して、投票前に欧州議会に宛てた手紙のなかで、米国は特に3つの条項に対して「問題がある」としている。米国側担当者によると、もっとも問題なのは、特許は相互運用性を制限する目的では使用できないと定めたArticle 6(a)で、これを削除するよう勧めている。
いっぽう、修正事項に賛同してロビー活動を行ったFFII(Foundation for a Free Information Infrastructure)は、データ交換標準を管理しようとする企業の動きからソフトウェア産業を保護するために、独占禁止法をあてにすることは、とんでもないことだと答えて反論している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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