米Advanced Micro Devices(AMD)は、これまでのモデルよりやや性能面で劣るものの価格がわずか2分の1というAthlon 64チップを静かに市場に投入した。
AMDの広報担当によると、この新型Athlon 64 3000+は既存のAthlon 64 3200+と同じ2GHzで動作するが、2次キャッシュが512Kバイトとなっている。ちなみに3200+には1Mバイトのキャッシュが搭載されている。
しかしAMDは、Athlon 64 3000+の価格を1000個発注時で218ドルに設定した。これに対し、3200+は418ドルである。AMDでは、この新しいチップはメジャーリーガーのAlex Rodriguezにちなんで「A-Rod」と呼んでいる。なお、同チップは今週初めにリリースされた。
アナリストによると、設定価格は下がっても、サイズがほぼ同じであることから、AMDにとっては大容量キャッシュを搭載したバージョンと、このチップの製造コストは変わらないという。AMDはコストに関するコメントを控えている。同社幹部の話では、チップ本体にあたるダイのサイズを小型化したAthlon 64の登場は、90ナノメートル製造プロセスが稼働開始する来年後半以降になるという。
Insight 64のアナリスト、Nathan Brookwoodは、「彼らはキャッシュの半分を無効にした」と語った。それでも、この新チップは同社の歩留まり向上に役立つ可能性がある。チップのなかには、1Mバイトのキャッシュすべてが機能しないために、テスト段階で破棄されるものもある。しかし、そうしたチップの多くは512Kバイト版のチップとして再販することが可能で、欠陥も現れない。
AMDの各チップは、パフォーマンスがオーバーラップし始めており、コンシューマーは、どのチップが自分のニーズに適しているのかを慎重に判断しなくてはならない。AMDはAthlon XP 3000+も販売しており、こちらはパフォーマンスの数値については新型のAthlon 64 3000+と変わらないものの、かなりの違いが存在する。
Athlon XP 3000+は、旧型の「Barton」コアをベースにしており、AMDによると、64ビットのソフトウェアを動作させることはできないという。64ビットソフトウェアは今のところ数が少ないが、来年には徐々に市場に登場し始める見込みだ。さらに、Athlon XP 3000+には、ほかのすべての要素が等しければAthlon 64ファミリーのパフォーマンスを「10〜15%程度引き上げる」(AMDのエンジニア)という統合メモリコントローラ、もしくはHyperTransport機能も搭載されていない。
その結果、数値は同じでも新しいAthlon 64 3000+はAthlon XP 3000 +をパフォーマンスで上回る、とAMDの広報担当は述べている。興味深いことに、Athlon XP 3000+は2.1GHzで動作している。
AMDと米Intelは、チップの性能を巡る戦いで、再び肩を並べている。Intelは、Athlon 64への対抗策としてPentium 4 Extreme Editionを投入しており、また来年2月には「Prescott」のコードネームをもつPentium 4のスピンオフ・バージョンをリリースする予定だ。このPrescottチップは、デビュー時に3.4GHzもしくはそれ以上の速さで動くものになるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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