ファイルではなく権利を流通--新団体からコンテンツ課金の新機軸

 米Microsoftと米Universal Music Groupが中心となって結成した新しい標準化団体で、音楽や映画などのコンテンツのオンラインでの流通をさらに効率的なものに変えると期待される技術の開発が進んでいる。

 このContent Reference Forumでは、Kazaaなどのファイル共有ネットワーク、ウェブページ、電子メール、あるいはオンライン上のその他ほとんどの経路からも配付可能な、ある種のインテリジェントなファイルを作り出したいと考えている。

 このファイルは、曲や映画自体を格納する代わりに、自動的にファイルを適切なフォーマットで配付するプロセスを設定する。このプロセスはまた、コンテンツ配付者がその時々の状況に合わせて変更可能な自動支払システムを起動できるようにもなる。

 この新団体の会長で、以前Universal Musicで先進技術担当のシニアバイスプレジデントを務めたこともあるAlbhy Galutenは、「これは基本的に、コンテンツに対する権利があるなら利用する機器は何でも構わないとするものだ。指定されたデバイスに向けて適切なファイルを送信する、ということになるだろう」と語った。

 同団体では、オンラインコンテンツの流通を一段と柔軟なものにし、互換性の無いさまざまなフォーマットやコピー防止技術に存在する障害の排除に力を貸したいと考えている。現在、ファイル交換ネットワーク、電子メール、あるいはインスタントメッセージ(IM) ソフトを利用してファイルを送信しようとすると、たいていの場合、適切なソフトウェアやハードウェアがないと再生できない独自フォーマットのファイルを送ることになってしまう。

 オンラインで販売されているエンターテイメント系コンテンツの大半は、独自フォーマットでエンコードされ、MicrosoftのWindows Mediaや米Apple ComputerのFairPlayといったコピー防止技術で保護されている。つまり、NapsterのオンラインミュージックストアからWindows Mediaでエンコードされた曲を購入しても、これをAppleのiPodなどで再生したい人と共有することはできない。

 この新技術では代わりに、「Content Reference」と呼ばれるファイルを共有することになる。このファイルには、許可を受けたコンテンツへのリンクがあり、受け手側の使うデバイスやコンピュータソフトウェアにあった形式のコンテンツを自動的に呼び出す仕掛けになっている。

 Content Referenceプロジェクトは、Universal在籍時のGalutenが、既存のものより柔軟なコンテンツ流通システムの構築を目指して、他のメンバー数人とともに立ち上げたもの。同団体には現在、Microsoft、米ContentGuard、米VeriSign、米Macrovision、英ARM、そしてNTTが会員として参加している。Galutenによると、ほかの企業も徐々に参加してくる見込みだという。

 同フォーラムは、World Wide Web Consortium(W3C)やMotion Picture Experts Group(MPEG)に似た、標準化団体として活動していくという。Content Reference仕様の最初のバージョンは同フォーラムのウェブサイトから入手できる。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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