DVDのコピー防止技術をクラックするツールとして、広く使われるようになった初めてのツールを配布したノルウェーのあるプログラマが、今度は米Apple ComputerのiTunesに目を向けた。
プログラマのJon Johansenは先週末に、「QTFairUse」というプログラムを自らのウェブサイトで公開した。このプログラムにはちょっとした注意書きがあっただけで、説明はほとんどなかった。しかし、その後の数日間で、このプログラムがAppleのiTunes Music Storeで販売される楽曲に使われているコピー防止技術を、破るとまではいかなくとも、回避できる可能性を示すものであることがわかった。
Johansenのソフトウェアは、決して初心者向きではない。現在公開されているままだと、ソースコードから実際に動作するプログラムを作るには、いくつかの複雑な段階を踏まなければならない。また、Winampや米MicrosoftのWindows Media Playerのようなデジタル音楽プログラムで直ちに再生できるような、実際の音楽ファイルを作るわけではない。
しかし、他の開発者か、もしくはJohansen自身がこのプロジェクトをさらに進めれば、普通のCDからと同じように簡単に、iTunesの曲から非保護の音楽ファイルを作成できる、シンプルなリッピングプログラムが登場するかもしれない。
iTunesのWindowsバージョンだけで動作するJohansenの最新のプログラムは、デジタル権利管理(DRM)技術の開発者とハッカーのあいだで繰り広げられているイタチゴッコの最新の一幕だ。ハッカーたちは、コピーロックを外すことにやりがいを見出している。
Johansenが1999年に作ったDeCSSというプログラムは、DVDコピーの合法性を巡る議論に火をつけたが、この論争はまだ終わっていない。現在広く配布されているDeCSSや類似のツールは、映画のデジタル版がコピーされ、オンラインで配布されるのではないかというハリウッドの悪夢の下地となっている。
今回Johansenが公開したプログラムは、AppleのQuickTimeソフトウェアに、同氏が自ら作成した新しいソフトウェアコンポーネントをパッチしたものだ。同氏がこのプログラムを「メモリダンプ」と呼んだため、ウェブのメッセージボードの常連プログラマのあいだでは、QTFairUseが、単に再生中のオーディオストリームを録音したものではなく、再生のために保護を外された状態でコンピュータの一時メモリにあった、生の、非保護の音楽データをコピーしたものではないかという憶測が飛ぶようになった。ただし、この真偽に関しては、Appleからも、またJohansenからも確認がとれていない。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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