カリフォルニア州最高裁は25日(米国時間)、ウェブパブリッシャーがDVDコピー用コードをネット上で公開することを禁じられても、言論の自由の侵害には当たらない、との判決を下した。
先に下級裁判所は、物議を醸しているDVD暗号解読/コピー用ソフトウェアコードDeCSSを、ウェブパブリッシャーがネット上に掲載することを禁じることは、米国憲法修正第1条に規定された彼らの権利の侵害に当たる可能性があると判断したが、今回の最高裁の判決はその判断を覆したことになる。業界団体のDVD CCA(DVD Copy Control Association)は、DeCSSのオンライン公開は企業秘密権の侵害に当たるとして、数十人をカリフォルニア州の複数の裁判所に提訴していた。
同最高裁は下級裁判所に対し、業界の企業秘密権が侵害された事実の存否を再調査するよう要請しており、25日の判決にはその結果次第で再び覆される余地が残されている。
しかし裁判官たちは、DVDのコピー防止技術は決して公開を意図して作られているものではないとして、今回のケースでは言論の自由よりも所有権の方が、現時点では保護の必要性が高いと述べた。また裁判官たちは、DeCSSコードそのものが、DVDはそもそも暗号化されるべきかという議論の解決に大きく貢献したわけではない、とも語った。
同最高裁は判決文の中で、「この非常に専門的な情報(DeCSSコード)を公開したからといって、暗号化ソフトの使用をめぐる公の論議、またはDVD化された映画作品の違法コピーを制限するための業界の取り組みには、何の影響もない」と述べ、さらに「国民の関心事に関する発言が、いかにDVD CCAの企業秘密と密接に絡み合うのか、またその企業秘密の公開を余儀なくさせるのかが分からない」と語った。
1999年に最初に起こされ、長期化しているこの裁判は、企業やその他の強力な業界団体などと衝突したり、あるいは法に反する場合さえあるソフトウェアのオンライン配信に関して、個人の自由がどこまで認められるかのテストケースとして注目を集めてきた。
この裁判の被告であるソフト開発者のAndrew Bunnerは、1999年にDeCSSと呼ばれるソフトコードをネット上に掲載した数百人のうちの1人。DeCSSはもともと、ノルウェー人のティーンエージャー、Jon JohansenがLinux OSを搭載したコンピュータ上でDVDを再生できるようにするなどの目的で開発したソフトだが、DVDの暗号解読やコピーにも利用することができる。
全米映画協会(MPAA)は、米デジタルミレニアム著作権法(DMCA)の下では、(DVD暗号解読/コピー用ソフトの)開発/配布は違法であると主張し、DeCSSを掲載したウェブサイトの多くを告訴した。ニューヨーク連邦地裁はMPAAの訴えを認め、オンラインハッカーマガジン「2600」の発行者Eric Corleyに対し、DeCSSのウェブサイトへの掲載、および同コードを掲載している他のサイトへのリンクを禁じていた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス