米Amazon.comは、全頁検索「Search Inside the Book」を使った検索結果を印刷する機能を停止した。Search Inside the Bookは先頃始まったばかりの新サービスで、ユーザーはこのサービスの印刷機能を利用して、オンラインで見つけた本のページをプリントアウトできた。Amazonのこの動きは、同サービスに対して、数名の著者が著作の売上げを脅かすものだと批判したことを受けてのもの。
Amazonは、これまで同サービスを使って本のページを印刷することが認められていたかどうかや、著者からの苦情については、コメントを差し控えており、自社では同サービスの「セキュリティの基準」については議論しないとしている。だが、米国の作家団体で、同サービスを非難したAuthors Guildや、出版業界のニューズレター「Publishers Lunch」は、週明けにこの変更が行われたことに気が付いた。CNET News.comが確かめた結果、Search Inside the Bookの印刷機能は、現在無効になっている。
Amazonでは、10月23日に開始した同プログラムについて、ユーザーが本を購入する前に中味を確かめられることから、本の販売を伸ばすためのものであり、決してこれを阻止するものではないと説明している。このツールは、ユーザーがキーワードを入力すると、検索結果としてそのキーワードを含むさまざまな本のページやタイトルを表示する。
これまでは、ユーザーは作家、テーマ、キーワードでは検索できたが、本の中味までは検索できなかった。この新しい検索機能は、約190の出版社から出された合わせて12万冊の本を対象としており、合計で3300万ページに分量のテキストを検索できる。
しかし、Authers Guildによれば、この検索機能と、印刷機能を組み合わせることで、著作権侵害のレシピができあがるという。Guildは先週、会員に電子メールを送り、同プログラムからに参加しないよう呼びかけた。同団体は、Search Inside the Bookサービスの開始後すぐにこの機能を検証し、本によっては全体の20%まで連続したページをダウンロードし、印刷できることを発見した。たとえば、あるベストセラーの場合、108ページまで印刷可能だったという。
このことが、料理のレシピや旅行情報などの本について、とりわけ心配の種となっていた。こうした種類の本は、購入するよりコピーする人が多いからだ。
Search Inside the Bookの開始以降、少なくとも本の販売のほうは、上向いている。Amazonは、同プログラム対象外の本と比較すると、プログラムに参加している本の販売は9%上昇したと述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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