ゲノム製薬の世界市場を狙う富士通、超高速アプリケーションサーバを開発

永井美智子(CNET Japan編集部)2003年11月05日 18時17分

 富士通は11月5日、同社の研究開発拠点である富士通研究所と共同でゲノム創薬研究向けの専用アプリケーションサーバ「BioServer」(コード名)を開発したと発表した。三菱化学の100%子会社でゲノム創薬資源の開発・ライセンス事業を行うゾイジーンとの実証実験を同日より開始し、製品化を目指すとしている。

 富士通 経営執行役の松下公一氏によると、同社は国内における医薬品研究・開発システムの様々な分野でトップシェアを取っているという。例えば富士経済の調査では、医薬品研究分野における2001年度の売上は富士通がシェア第1位の26%となっている。しかしゲノム創薬研究の分野では市場の51%を北米が占めており、北米と欧州の市場開拓が富士通の課題となっている。このため、富士通では今後、世界市場に向けたサーバ開発を推進していくとしている。

 BioServerは一筐体に最大1920個のCPUを搭載可能な超並列シミュレーションサーバで、大きさは幅60cm、奥行き90cm、高さ200cm。1ラックには最大128CPUが搭載できる。

富士通 先端科学ソリューション本部 プロジェクト統括部長の小倉誠氏
個々のCPU上でタンパク質の構造予測や結合予測を行うシミュレーションプログラムを並列に動作させることができる点が特徴だ。CPUごとに異なった条件のデータを独立かつ並行に計算することで、シミュレーションの高速実行が可能になるという。例えばHIV分解酵素を対象としたシミュレーションの場合、今までは全てを計算するのに実行するのに63.4年かかっていたものが、1920CPU搭載のBioServerを利用した場合、わずか12日で実行できるようになるとしている。

 CPUには富士通製の組み込みプロセッサ「FR-V」シリーズを採用した。性能は「Pentium IIIの2分の1程度」(富士通 先端科学ソリューション本部 プロジェクト統括部長の小倉誠氏)だが、省電力、省スペースが特徴で、同社のスパコンに比べ1ラックあたりの消費電力が30分の1、スペースも25分の1になるという。OSはアックス製の組み込みLinuxである「axLinux」を採用している。

 実証実験はゾイジーンが持つ薬の実験データを利用し、性能確認などを行う。システムはBioServerのほかPRIMEPOWER 200、同400、ブレードサーバのBX 300 、ストレージのETERNUSで構成される。実験の結果は2004年初頭には出る予定という。この実験結果をもとに、富士通ではBioServerの商用化を検討するとしている。製品の価格については「現時点ではっきりとは言えないが、同規模のPCクラスタよりは安価になるだろう」(小倉氏)とした。

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