台湾のチップメーカーSilicon Integrated Systems(SiS)は、米Microsoftの家庭用ゲーム機Xbox向けに入出力用チップの開発をサポートすることになった。次世代製品開発に向けた重要な一歩となる。
SiSはPC用チップセットを生産する代表的なメーカーのひとつ。チップセットとは、プロセッサとパソコンの他の部分との間でデータをやりとりするためのパーツだ。今回の発表には若干曖昧なところがあるものの、両社は発表したニュースリリースのなかで、SiSが「次期Xbox製品や関連サービスで使われる、先進のメディア入出力技術」を開発すると述べている。
SiSとの契約がまとまったことで、次期Xbox用の重要なチップに関してMicrosoftが進める完全な見直し作業は、順調に進みそうだ。Xboxの初期バージョンでは、米Intel製のPentium IIIに手を加えたプロセッサと、米Nvidia製のグラフィックチップおよび入出力チップが使われていた。
新たなXboxには、Nvidiaの競合にあたる加ATI Technologies製のグラフィックチップ、米IBM製のプロセッサ、そしてSiSの入出力チップセットを搭載することがきまり、あとはメモリの見直しを残すのみとなる。現行のXboxは、ふつうのPC用メモリを使用している。対照的に、ソニーはPlayStationに米Rambusの設計したメモリを搭載している。
「我々は、SiSの最先端のメディア入出力技術を将来の製品に統合し、デジタル・エンターテイメント・ライフスタイルを提供する革新的なXbox製品や関連サービスを生み出す」と、Xboxのハードウェア担当ゼネラルマネジャーのTodd Holmdahlは、声明の中で述べている。
提携先を変えることにはメリットとリスクが伴う、と米Microprocessor Reportのシニアエディター、Kevin Krewellは言う。メリットとして挙げられるのは、Xbox用にカスタマイズしたチップを作るために利用できる、技術に関連した知的所有権の広範なポートフォリオに、Microsoftが新たにアクセスできるようになる点だ。
また、初代のXboxをめぐって、関係各社が抱いていた思わしくない感情も、提携先を変えることで一掃できる。Intelにとって、733MHzのPentium IIIプロセッサをMicrosoftに供給するのは、実入りの少ないビジネスだった、とKrewellは言う。いっぽう、NvidiaとMicrosoftの間では契約に関する問題がこじれ、裁判所による調停にまで発展した。当時Nvidiaは、利用しようのないチップの山を抱え込むか、あるいは赤字での処分を迫られる羽目に陥ることを恐れていた。
「結局、誰もがとても不幸せな気持ちで去っていった」(Krewell)
これに対して、Microsoftが抱えるリスクとしては、まずソフトウェアを書き換えなくてはならないという点がある。同社は、IntelとライバルのAMDが激しく争わせた末に、結局Intelを選び、それでXboxにWindowsのコードベースとの互換性を持たせようとした。これと対照的に、IBMのプロセッサ技術は同社のPowerPCチップファミリーを中心に展開しており、WindowsではなくUnixのソフトウェアを走らせるために使われているものだ。
さらに、スケジュールの点も非常に厳しい。ソニーはIBMおよび東芝と手を組み、Cellプロセッサの開発を進めている。このプロセッサは、PlayStationの次世代機に搭載される見込みのものだ。この3社は2001年初頭よりCellの開発を進めてきている。なお、Cellプロセッサの登場は、2005年遅くか2006年初めの予定である。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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