連邦地裁陪審が下した広範な特許訴訟判決により、インターネット上で最も普及しているInternet Explorer(IE)の大幅な変更を余儀なくされる可能性があるため、ウェブコミュニティは同判決を何とか覆そうと、技術に関する過去の記録を必死に調査している。
企業および標準化団体が必死に探しているのは、問題の特許が受理される以前に開発され、しかも基本的に同じ機能を有する、法律用語で言ういわゆる「先行技術」だ。
ウェブ技術者たちは、適切な事例さえ見つかれば、Microsoftが米Eolas Technologiesの保有する特許を侵害したとする、連邦地裁の陪審が最近下した判決を覆す一助になると考えている。このいわゆる「'906特許」には、ウェブブラウザがウェブページから別個のアプリケーションを呼び出す手法が記述されている。
この訴訟では当初から先行技術が争点となっていたが、標準化団体のWorld Wide Web Consortium(W3C)が米国特許商標庁(USPTO)に対し異例の申し立てを行ったことで、この問題が再び最重要論点となっている。W3CはUSPTOに対し、Eolas訴訟で先行技術に当たる可能性があると判断されながら、結局証拠として採用されなかったHTML+技術に照らして、Eolasの特許を再審査するよう要請している。
W3Cは10月23日に提出した申立書の中で、「(Eolasの)主張は無効であり、また'906特許が、より大きなWorld Wide Webコミュニティに甚大な悪影響を及ぼすことを考えると、(USPTOの)長官主導で再審査を行うのが妥当だ」と主張した。
EolasはMicrosoftに対する特許侵害訴訟で勝訴し、5億2100万ドルの損害賠償を勝ち取ったことで、世界の注目を集めた。また、これほどソフトウェア業界の注目を集めた特許訴訟は、過去にほとんど例がない。すでにMicrosoftはIEの詳細な変更計画を発表したが、それにより無数のウェブデベロッパがウェブページの書き換えを迫られる可能性がある。
米Macromediaや米Sun Microsystemsなどプラグインの開発元や、ブラウザ市場でMicrosoftと競合する各企業は、特許の影響がどこまで及ぶか分からないとの懸念から、すぐさまMicrosoftの擁護に回った。
今回の訴訟は、仕事柄、IEやIEによるプラグインアプリケーションの処理方法に依存している人々ばかりでなく、これまで特許をあからさまに敵視しないまでも、特許に対し制限的な考え方を持っていた勢力、すなわち、活動家グループ、企業、標準化団体をも一致団結させる結果となった。
W3Cは、先頃自らの特許に関する指針の見直しを、長い時間を掛けて行ったが、その結果勧告のなかで特許で保護された技術の使用を厳しく制限することとなった。
また、特許システムの大幅な見直しを求める声の高まりを受けて、先週米連邦公正取引委員会(FTC)は、先行技術の考慮に基づいたルールの改正を通じて、特許に対する異議申し立てをしやすくするよう勧告を行っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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