サン・マイクロシステムズは21日、同社のソフトウェア製品とその関連サービスを統合した新ソフトウェア製品体系、Sun Java Systemを発表した。この新製品システムの第1弾として同社は、中核となるサーバ向けソフトウェアと関連サービスを集約したJava Enterprise Systemを本日国内にて販売開始し、12月中旬に出荷開始する。
「サンはシステムを作る会社だ。たとえば車のタイヤやエンジンだけを欲しがるような顧客は存在せず、みな“車”というシステム全体を購入したいと考える。Sun Java Systemは、これまでサンが提供してきたすべてのコンポーネントを統合し、“車”の形にして提供するものだ」と同社代表取締役社長のダン・ミラー氏は語る。つまりSun Java Systemは、サンの200種類以上あるソフトウェア製品およびその関連サービスを用途に応じて6つのソフトウェアシステムとして構成しなおし、新たな製品提供方法や価格体系、ライセンス契約を用意するものだ。
今回発表されたJava Enterprise Systemは、これまでコード名Project Orionと呼ばれていたもので、ユーザー管理を行う機能や、Webサービスを構築するための機能、企業ポータルを構築するための機能、メールなどのコミュニケーション基盤を構築する機能といった、これまで個別のソフトウェアとして提供されていた機能が統合されている。料金は、導入先の従業員1人あたり年間1万1000円で、このなかに保守サポートやトレーニングなども含まれる。これまでの料金体系では、顧客の数やCPUの数が増加するとそれによって追加料金を支払わなくてはならなかったが、このシステムではサービスが拡大して顧客の数が増えても、従業員の数が変わらなければ追加料金を支払う必要はない。一方のサンにとっては、これまでのようにソフトウェアを売り切った際の収入のみならず、1年ごとにサービス料金が入ってくることになる。
サン・マイクロシステムズ代表取締役社長、ダン・ミラー氏 | |
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Sun Java Systemの料金体系は、大規模システムを運営している企業にとって大幅なコスト削減に結びつくものだが、中・小規模の企業や一部のコンポーネントだけを購入したいという顧客にとってはこれまでの料金体系のほうが安価な場合もある。その場合は、「従来の料金体系で必要なコンポーネントだけを提供していく」(ミラー氏)という。
またJava Enterprise Systemでは、これまで各ベンダー・各製品ごとにそれぞれ違った周期で行われていたバージョンアップを毎四半期ごとにまとめて行い、さらにはすべての組み合わせにおけるテストなどもサンで行ったのちリリースすることで、「バージョンアップによる互換性のトラブルや複雑さを解消する」(サン・マイクロシステムズ プロダクトマーケティング本部長、山本恭典氏)としている。「メインフレームではこのようにバージョンアップを定期的に行い、すべてのシステムテストもベンダーが行っていたが、これは大変高価なシステムだった。サンはオープン化を進めたベンダーのひとつで、その結果このような複雑なソフトウェア体系を作ってしまったのだが、この複雑さを解決するためにこのシステムを取り入れた」(山本氏)
Sun Java Systemには、今回発表されたJava Enterprise Systemのほか、クライアント向けデスクトップ用ソフトウェアを統合した製品Java Desktop System(コード名Project Mad Hatter)、開発者用統合ツールセットのJava Studio、Java対応のモバイル製品をサポートする統合プラットフォームJava Mobility System、Java Cardで電子商取引などを行うための個人認証サービス対応プラットフォームJava Card System、および一部製品が既に発表されているユーティリティコンピューティングを実現するためのN1などがある。それぞれの製品の提供開始時期は、「Java Desktop SystemとJava Studioが来春、Java Mobility SystemとJava Card Systemについては半年から18カ月の間に詳細を発表予定」(山本氏)としている。
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