アクセンチュアとSAPジャパンは21日、合同で記者会見を行い、国内金融市場を対象にITソリューションの開発や提供を共同で行うと発表した。先月両社は金融業界におけるソリューションの拡大と機能拡張に向けたグローバルな提携を発表したが、今回の発表はこの一環として日本市場での戦略を明らかにしたもの。
アクセンチュア金融サービス業本部アジアパシフィック統括パートナーのロバート・P・ギャッチ氏は、今回の提携について「両社の強みを相互補完するものだ」と語る。「アクセンチュアの金融業界に対する知識やカスタムソフトの導入経験と、SAPのオープンな統合アプリケーションプラットフォームと業界横断型の標準ソフトウェアにおける開発や提供の実績を組み合わせることができる」(ギャッチ氏)
従来のSAPとパートナー会社におけるシステム導入を目的とした提携とは異なり、今回の提携で両社は、製品開発や営業、マーケティング、導入、運用サービスまでを専任組織にて共同で行うことになる。具体的には、アクセンチュアの銀行・保険・リースなど各業界向け既存ソリューションと従来のSAP製品を統合させ、銀行やリース業向け勘定系システム、保険業向け損害調査業務管理および代理店システムなどの機能拡張を行う。また、グローバルで800人規模の共同専任部隊を設立し、業界別のソリューション開発や導入、マーケティングなどを行う。日本における専任部隊は1年以内に約100人規模となる模様。
SAPジャパン代表取締役社長の藤井清孝氏(左)と、アクセンチュア代表取締役社長の村山徹氏 | |
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日本市場に向けては、「まずコアプロセス業務へのERPパッケージ導入が早期に立ち上がる可能性が高い“保険”および“リース”分野での適応を目指す」(SAPジャパン バイスプレジデント金融セクター本部長、今井俊哉氏)としている。これまで両社とも、保険やリース分野でコアプロセス業務のシステム導入の実績があり、これら業界の動向としてもコアプロセス業務へのパッケージソリューションの導入に対するニーズが高いのだという。また、この分野の製品は、すでにこれまでの両社の実績をベースに開発済みもしくは開発中とのことだ。一方の銀行業に関しては、「まず地方銀行をターゲットとして早期導入を目指す」(今井氏)としている。
SAPジャパン代表取締役社長の藤井清孝氏は、「現在の金融業界は、ビジネスにおいてもITにおいても過剰投資の結果、コスト構造が非常に高くなっている。この構造を改革するために標準化は避けて通れないだろう」と語る。またアクセンチュア代表取締役社長の村山徹氏は、「ERPなどはこれまで製造業や流通業での利用がほとんどで、金融分野ではまだあまり活用されていないのが現状だ。しかしIT資源をもっと戦略的に使うには(われわれの提供する)ソフトウェアソリューションの活用が重要となるだろう」としている。
両社は、既に想定する20社以上の顧客ベースで、今後3年間に約500億円前後のプロジェクトを受注する予定としており、その後の機能拡張や新規獲得を含め、5年間で1000億円のSIプロジェクトの受注を目指すとしている。
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