ソフトウェアの著作権侵害者といたちごっこを続けるコンピュータゲーム開発会社が、大胆な行動に打って出た。今後ゲームメーカーは、ソフトの違法コピーを逆手にとって、ユーザーを取り込むという新たな作戦に出る。
米Macrovisionと英国のゲームメーカー、Codemastersが、新しいコピー防止システムを共同開発した。このシステムは違法コピーされたゲームソフトが徐々に劣化していき、最終的に使用不可能になるというもの。例えば、車のゲームであれば運転できなくなり、射撃ゲームなら的がなくなってしまう。
重要なのはもちろん「徐々に」という点だ。このシステムは、偽物を餌に使い、そのプレーヤーに本物のゲームソフトを購入させるという、Fade(フェード)と呼ばれる発想が基礎となっている。コピーされたゲームソフトが使用できなくなるまでに、プレーヤーはすっかりゲームにのめり込み、適正なコピー製品を買わずにいられなくなるという寸法だ。
Fadeは、Codemastersの共同設立者であるRichard Darlingによって考案されたもので、傷のあるCD-ROMやDVDをコンピュータで読取る際に使われるエラー修正システムを利用する。Fade機能付きのソフトにはCDの傷に似たわずかな"破壊的"コードが含まれているが、ゲームのマスタープログラムが捜せるよう慎重に配置されている。磨耗のパターンが検知されれば、問題なくそのゲームをプレーすることができる。
しかしディスクがコピーされると、コピーする際に使用されたコンピュータのエラー修正システムが偽物の傷を自動的に消去してしまう。その状態でゲームをプレーすると、マスタープログラムはあらかじめセットされたパターンを検知できないため、そのソフトが偽物と判断できる。
従来のコピー防止機能付きゲームソフトは(コピーされると)プレーできなくなってしまうが、Fadeの場合はプレーは可能だ。ただし、マスタープログラムではプレーできなくなる。
CodemastersのBruce Everissは、雑誌New Scientistに対して、「このシステムの素晴らしい点は、劣化するコピー製品が販売促進ツールになるということだ」と述べ、さらに「人々はオリジナル版を買いに行く」と語った。
Fadeはゲームソフト「Operation Flashpoint」に試験的に導入されており、あるスヌーカーのゲームでも使用される予定。またMacrovisionのコピー防止システムSafeDiscにも導入されている。
デジタル著作権管理(DRM)製品を販売するMacrovisionは、Fadeと同じ発想に基づいた映画DVD用のコピー防止システムの開発を計画している。このシステムでは、違法コピーを再生すると、ストーリーが佳境に入った時点で再生がストップしてしまう。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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