米国証券取引委員会(SEC)と司法省は9日(米国時間)、トロイの木馬と呼ばれるハッキングプログラムを使い、他人の証券取引口座から預金を盗み取ったとして、米ペンシルバニア州在住の19歳の少年を告訴した。
SECによって民事裁判所へ、そして刑事裁判所へは司法省によって、それぞれ証券詐欺ならびにコンピュータ犯罪の罪で訴えられたのは、米ペンシルバニア州フェニックスビルのVan T. Vinh。本件は、SECにとって、コンピュータ侵入ならびに詐欺の両方の罪で特定人物を告発した、初のケースとなる。
「今回の事件は、インターネットを利用する投資家に対して、毎月注意深く証券口座の明細を見直し、いかなるダウンロードファイルに対しても問題がないかを確認し、さらに安全対策をとる必要があることを思い出させてくれた」と、SECのOffice of Internet Enforcement責任者、John Reed Starkは声明の中で語っている。
あるアナリスト会社の試算によれば、米国内の700万人の消費者が何らかの個人情報の盗難で、被害に遭っているという。先週米Microsoftは、同様の手口で個人情報ならびに財務情報を盗まれたとする女性によって、訴えを起こされた。この訴えでは、インターネット犯罪者からソフトウェアやユーザーを守るための安全対策の面で、同社に落ち度があったとしている。
容疑者のVinhは7月に、被害にあった米マサチューセッツ州ウェストボロウ在住の投資家から、同氏のコンピュータを監視するプログラムをダウンロードするように仕向けたとして、訴えを起こされた。Vinhは、「Tony T. Reichert」という偽名を使い、被害者ならびに株式投資の掲示板を通して知り合った何人かの人物に対して、新しい株式チャートツールのベータテストへ参加を持ちかける電子メールを送信したという。
訴えによれば、このツールは、実際にはキーボードから入力されたすべてのテキストを記録する、トロイの木馬プログラムだった。このプログラムを使って、Vinhは被害者のオンライン証券取引口座のアカウント名とパスワードを入手し、この口座から約4万7000ドルを引き出したという。
「見知らぬ送信者から届いた電子メールを開くのは、見知らぬ相手に家の正面玄関を開けてやるのと同じことだということを、ネットユーザーはこの事件から学ぶはずだ」と、米マサチューセッツ地区の弁護士、Michael Sullivanは声明の中で述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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