「指一本」で裁判沙汰?−コピーガードをはずした学生に訴訟の可能性

 CDのコピー防止技術を開発する米SunnComm Technologiesは9日(米国時間)、今週初めに、コンピュータのShiftキーを押すだけで、同社のコピー防止技術を無効化できると発表したプリンストン大学の学生を相手取って、訴訟を起こす可能性を示唆した。

 プリンストン大学の博士課程の学生、John "Alex" Haldermanは今月6日、CDの違法コピーやMP3のリッピングを防止するSunnCommの技術を無効にする方法を詳細に説明した論文を、自らのウェブサイト上で発表した。この新技術は、BMG Musicが最近発売した、Anthony Hamiltonというソウルシンガーの新作アルバムで導入されている。

 SunnCommのCEO、Peter Jacobsは9日、同社が法的手段に訴える計画を進めており、刑事・民事の両面から訴訟を検討していると述べた。Jacobsによると、同社は名誉毀損および、場合によっては、違法なデジタルコピーを防止する技術を回避するためのツールの配布を禁じた著作権法に違反したことを理由に、この学生を提訴する可能性があるという。

 同社の主張については、すでに知的財産権専門の弁護士数人が調査中だ。その目的は、コピー防止技術を破る、あるいは「迂回」するための情報やソフトウェアの配布を禁じた問題の著作権法が、どこまで適用可能かを見極めることにある。

 著作権違反防止技術の回避を目的とした情報や、あるいはそのためのソフトを配布した人々に対しては、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)を根拠とした民事・刑事訴訟が、すでに数件起こされている。そのなかの1件では、オンラインマガジンの発行者Eric Corleyが、連邦裁判所からDVDの不正コピーに役立つソフトコードの公開を禁じられた。

 ある刑事裁判では、ロシアのソフトメーカー、ElcomSoftに掛けられていた、Adobe SystemsのeBookフォーマットのコピー防止機能を、故意に回避するソフトを配布したとの容疑が晴らされた。

 しかし、これらの裁判は、どちらもソフトかあるいはソフトのコードを扱ったものだった。Haldermanの裁判の争点は、これらとは若干性質が異なる。

 Halderman は、6日にプリンストン大のウェブサイト上で公開した論文の中で、SunnCommの技術では、音楽CD自体から直接コピー防止用ソフトをインストールしていると説明した。しかし、これはWindowsのAutoRun機能を停止することによって回避でき、しかもユーザーはCDがロードする際にShiftキーを押したままにするだけでよい。

 Haldermanは、仮にCDがコピー防止用ソフトをロードし、これをPCにインストールしても、Windowsに標準装備されたツールを使って、その機能を無効化できるドライバファイルを発見した。言論の自由を主張する活動家らは、Haldermanの説明文の性格について、学術論文という形で書かれたものであり、Windowsを搭載する全てのコンピュータに含まれる機能のみを使用し、さらに利潤目的で配布されたわけではないことを考えると、DMCAに基づく精査の対象にはならないと述べた。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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