米国の旅客機乗客データ要求に難色を示す欧州

 欧州議会の委員会は、米国当局による航空旅客個人データの要求に関して、懸念を表明した。この個人データのなかには、食事の好みの詳細まで含まれるという。

 欧州連合は、今後2カ月の間に、欧州から米国へ渡る旅客の個人データを保護するため、米国政府と調整を行うよう求める欧州議会委員会の最後通告を受け取った。

 満場一致で議決のなかで、欧州議会市民権委員会(LIBE)は、航空会社による大西洋両岸を結んだフライトの旅客個人データの配布に関して、懸念の声を表明した。

 欧州議会議員(MEP)は、米国と欧州委員会の話し合いは「行き詰まり」を迎えており、11月末までに何らかの行動に出るよう要求している。

 2003年3月、欧州委員会の支持を得て、米国政府は、米国への路線に乗り入れている主要な航空会社の予約システムに、直接アクセスできるようになった。これは、EUのプライバシー関連法に基づいたデータの適切な保護を保証する必要がないものだ。米国政府は、2001年と2002年に導入された新たなテロリスト対策に従い、PNR(passenger-name records:顧客予約記録)データベースに収められた39項目にわたる個人情報の提供を、航空会社に求めている。PNRデータベースには、旅客の電話番号や機内食の好みなどの情報が含まれている。

 このデータへのアクセス、保存、保護に関する条件は、必ずしも保証されているわけではない。LIBEによる議決では、今後2カ月以内に「(データ保護の)条件が満たされなかった場合、委員会は企業が旅客の個人情報を配布するのを禁止しなければならないだろう」と主張している。

 米国側は「要求に従わない」旅客機が着陸するのを拒否しているため、欧州委員会のこの動きは、空港での問題に発展しかねない。

 今回の議決では、「欧州委員会に、どのデータが合法的に第3者に配布できるかを決める」よう求めている。同委員会は「米国人以外の旅客に対して差別がない」こと、また「問題が生じた際には、旅客はすばやく効果的な抗議プロセスにアクセスできる」ことを保証しなければならないとしている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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