米IBMは9月30日(米国時間)、携帯電話チップの設計を発表した。このチップは、現行のプロセッサのわずか5分の1の電力しか必要としないという。
同社はこのチップを実現するため、従来は互換性がないと考えられていた複数の製造技術を組み合わせているという。新工程では、シリコンオンインシュレータ(SOI)と呼ばれる特殊な薄いウエハ上に、シリコンゲルマニウム(SiGe)の二極チップを構築できるとIBMは話している。SOIは今まで主に、相補形金属酸化膜半導体技術を使ったCMOSチップの製造に利用されていた。
この新技術によって、チップ設計者は1枚のウエハ上に、従来よりはるかに多数の種類の回路を混在させられるようになる、とIBMのWatson Research Labフェロー、Tak Ningは述べている。
「我々は回路設計者に、斬新な回路を設計してもらいたいと思っている」(Ning)
IBMは、新工程から生産されるチップが、約5年後には量産されるだろうと述べている。この新チップ設計は、「スマート走行制御」や衝突回避システム付きの自動車や、携帯電話でのビデオ再生機能など、さまざまな目的で使われるようになるという。
米IntelやIBMなどのチップメーカーにとって、消費電力管理技術の最先端を極めることは重要な目標だ。長時間稼動するパソコンのプロセッサでは、クロックスピードのギガバイト数を押し上げることばかりが競争されるが、チップ業界の大部分は目下、そこそこのスピードで稼動するが、消費電力の少ないチップの開発に力を注いでいる。
たとえば米Advanced Micro Devices(AMD)は9月に、3ゲートの試作トランジスタを発表した。まだ、Intelも6月に、同様のトランジスタ計画の概略を明らかにしている。
IBMは、フランスのトゥールーズで開催される「2003 Bipolar/BiCMOS Circuits and Technology Meeting」で、この新設計の詳細を発表する。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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