ミラクル・リナックスは9月25日、OSの安全性を高めるソフトウェア「MIRACLE HiZARD(ミラクル ハイザード)」を発表した。同時に、韓国でMIRACLE LINUXを販売し、韓国のエンタープライズLinux市場に参入する計画も明らかにされた。
MIRACLE HiZARDは韓国SecuBrain(セキュブレイン)のセキュリティソフトウェア「Hizard」を日本語化したもの。HizardはサーバOSのセキュリティホールを悪用した不正アクセス等を防ぐためのソフトウェア。現在セキュリティ対策としてはファイアウォールや不正侵入検知システム(IDS)など、ネットワーク側の対応が主流だが、HizardはOSのカーネルレイヤーに実装されるセキュリティモジュールである点が特徴だ。
ミラクル・リナックス技術本部 本部長の小田切耕司氏は、従来のソリューションだけではセキュリティ対策は不完全だと指摘する。「ファイアウォールはネットワークのポートの開け閉めをするだけで、ウェブサーバやメールサーバに対するバッファオーバーフロー攻撃は防げない。IDSは不正侵入等を検知、報告するだけで、直接防御するわけではない」(小田切氏)
握手を交わすミラクル・リナックス代表取締役社長の佐藤武氏(中央)とSecuBrain代表兼CEOのLee Bryan氏(左)、GeneVic CEOのHan Hoon氏(右) | |
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Hizardはバッファオーバーフロー攻撃などを防ぐアンチハッキング機能を備えるほか、内部からの情報漏洩を防ぐアクセス制御機能、複数サーバの運用管理を簡単に行えるGUI管理機能を備える。すでに韓国の官公庁を中心に導入されており、SecuBrain代表兼CEOのLee Bryan氏によると現在までに約300の導入実績があるという。
MIRACLE HiZARDはLinuxのほか、WindowsとUnixに対応する。Linux版は10月20日に出荷を予定しており、代理店を通じて販売される。予定価格は80万円から。Windows版とUnix版についても、年内に出荷する予定だ。ミラクル・リナックスでは2004年度末となる2004年5月までに1億円の売上を見込んでいるほか、「2005年度には4億円、その後も売上は倍々で増えていくだろう」(ミラクル・リナックス代表取締役社長の佐藤武氏)と大きな期待を寄せている。
韓国を足がかりにアジアに進出
ミラクル・リナックスは同日、同社のLinux OSであるMIRACLE LINUXを韓国で販売することも明らかにした。韓国GeneVic(ジェネビック)が代理店となる。MIRACLE LINUX の韓国語対応を完了させた後、2004年初頭より販売を開始する予定としている。
ミラクル・リナックスは今回のGeneVicとの提携を足がかりに、アジアへの本格参入を狙っている。「Linuxは米国だとRed Hat、欧州ではSuSEが強いが、アジアは白紙地帯。そこで今後はアジアに向けて、積極的に提携関係を作っていこうと考えている」(佐藤氏)。具体的にはミラクル・リナックスの親会社である日本オラクルの販売網を利用し、アジア各国におけるパートナーを探していくという。日本オラクル代表取締役社長 兼 最高経営責任者の新宅正明氏も「Red HatやターボリナックスなどにアジアのLinux市場を任せておくわけにはいかない。これから次々と提携を発表していく予定だが、次のターゲットはまちがいなく中国だ」と話し、巨大市場となる可能性を秘めた中国をライバル企業より先に制したいとの意気込みを語った。
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