米IBMは、グリッドテクノロジーを使ってコンピュータリソースをひとつにまとめることを提唱している企業の1つだが、今回この技術を利用する複数の新規顧客を獲得した。
同社は24日(米国時間)、自社のグリッドコンピューティング製品やサービスを購入している100あまりの企業のなかに、新たな顧客が加わることを発表すると見られている。このなかには、最大手の投資銀行Morgan Stanleyやビジネスコンサルティング会社のHewitt Associatesが含まれている。
グリッドコンピューティングは、数十から時には数百のサーバをネットワークを介してつなぎ、その計算能力をひとつにまとめることで、プログラム稼働時の信頼性を増し、またデータセンターの維持コストを削減する。現在、IBM、米Hewlett-Packard(HP)、米Sun Microsystemsや、その他数社の企業が、各々のグリッドコンピューティング技術がもたらす利点を積極的に売り込んでいる。
米Oracleは先頃、グリッドコンピューティング用に設計した同社のデータベース製品を、今年年末までにリリースする予定であると発表し、この争いに加わった。この発表時に、Oracleの幹部は、IBMのグリッドコンピューティングに対するアプローチでは、それを導入するために、IBM Global Servicesからの高価なコンサルティングサービスが必要になると主張した。そして、Oracleでは、もっと独創的なグリッドコンピューティング体験を提供すると約束した。これに対して、IBMの幹部は、Oracleのグリッドコンピューティングに関する取り組みは、同社のクラスタリング技術の焼き直しであると反論した。
こうした罵り合いも含め、IBMは、自社がいまだにグリッドコンピューティング分野で競っていることを、熱心に思い出させようとしているようだ。
「我々のライバルであるOracleやHP、Sunは巻き返しを狙い、将来のグリッド戦略を確約している一方で、IBMにはすでに稼働状態にあるグリッド関連のプロジェクトが、世界中で100以上もあり、過去1年間でも、19業種に特化したグリッド製品をいつくか発表している」と、IBMの広報担当者は電子メールのなかで答えている。
IBMのグリッドコンピューティング部門でゼネラルマネージャを務めるTom Hawkによると、同社では今年度、グリッドコンピューティング分野からの売上げが、ハードウェア、ソフトウェア、サービスを合わせて数百万ドルに上り、来年度にはさらに倍増すると見込んでいるという。
今回発表になった新規顧客のなかには、上記2社のほかに、日本生命グループの1部門であるNLI Research Institute、シンガポールにあるNgee Ann Polytechnic大学などが含まれている。
IBMはまた、金融サービス業界向けの、2つの新しいグリッドコンピューティングパッケージの発表も行っている。その1つは、SAS製のデータ分析ソフトウェアを取り入れ、銀行がさらに効率よく与信リスクを査定できるように設計したもの。また、もう1つは、DataSynapse製のソフトウェアを含み、与信限度の監視を行うようためのものという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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