エルピーダメモリと凸版印刷は8月27日、半導体フォトマスクの製造と技術開発における協業に関して基本合意に達したと発表した。この合意にもとづき両社は、半導体回路パターン幅100nm以下の微細フォトマスクの共同開発と、フォトマスクデータ準備のインフラ構築に関する共同開発を行う。またエルピーダメモリが必要とするフォトマスクは今後、外部委託分も含めて100%凸版印刷が供給する。
フォトマスクは、メモリの回路図などの細かな模様を刻み込んだ薄板。集積回路や液晶ディスプレイなど電子薄膜部品を製造する際、配線図などを転写するための原版として使用する。今回の提携についてエルピーダメモリの代表取締役社長兼CEO、坂本幸雄氏は、「これでDRAM製造における障害はほぼなくなった。あとはウエハの高品質化を図るのみだ」と述べた。また同氏は、「現在微細なフォトマスクを生産できるのは、大日本印刷と凸版くらい。そのなかでも凸版を選んだのは、これまでのビジネス関係の中で見たマネージメント能力の高さだ」としている。なお、金額は明らかにしていないが、凸版印刷はエルピーダに対し出資も行っている。
凸版印刷代表取締役社長の足立直樹氏(左)とエルピーダメモリの代表取締役社長の坂本幸雄氏 | |
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両社はこの協業の背景として、近年のパソコンやデジタル機器の開発期間短縮によって、DRAMメーカーも先端技術開発のスピードアップが要求されていることを挙げる。一方フォトマスクは、半導体開発・製造の基幹技術として重要性が高まっており、フォトマスクメーカーには製造技術だけでなく、設計、データ準備などの分野の技術開発も必要になっている。両社はこれを踏まえ、半導体メーカー、フォトマスクメーカー双方の技術開発のために、協力関係の強化を図ったとしている。
これまでエルピーダでは、凸版を含め5社よりフォトマスクの提供を受けていたが、今回の協業で凸版1社のみからの提供となることについて、「コモデティ商品と専門的な商品は別。マスクのような専門製品は、特定業者から供給を受けるほうがよい」と坂本氏。またフォトマスクの納期について、「これまで通常1〜3週間と見ていたが、凸版では最速3日で用意ができる」としている。
凸版印刷代表取締役社長の足立直樹氏は、今回の提携による売上への貢献度が2004年度で「十数億円になるのではないか」と見ている。また外部委託分も含めると、「その約3倍は見込める」(足立氏)としている。両社の契約期間は5年となっているが、エルピーダの坂本氏は「それ以降も契約は延長したい」と述べている。
なお凸版印刷はフォトマスクの製造と供給に関し、1999年7月にソニーと、2000年3月に三菱電機と、2001年に松下電子工業(現在は松下電器産業の社内分社)と、2003年3月にはシャープと契約を締結している。凸版印刷の足立氏は、「エルピーダと共同開発したものはエルピーダのみに提供するものだが、フォトマスクは各社特色が違うものなので、他社メーカーとのつきあいは続く」としている。
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