カリフォルニア在住のある匿名の女性コンピュータユーザーが米国時間21日、ファイル交換を巡ってレコード業界が申請した召喚状は違憲であり、プライバシーの権利を侵害するものだとして、裁判所に異議を申し立てた。
「Jane Doe」という匿名のインターネットサービス利用者が、ワシントンDCの連邦裁判所に対して行った今回の異議申し立ては、数カ月前からRIAA(全米レコード協会)が請求している個人情報の開示を求める召喚状に対して、その対象となる当事者が行うものとしては初めてのケースとなる。
RIAAは裁判所命令を利用して、著作権で保護された楽曲をファイル交換ネットワーク上で公開している疑いのある、1000人以上のコンピュータユーザーの特定に務めている。同協会では、入手した情報を使って、個人を相手取った著作権訴訟を起こす計画だ。
今回の異議申し立ては、オンライン著作権の保護を巡るRIAAの行為が行き過ぎだとするカリフォルニア州サクラメントの2人の弁護士が行っている。
そのうちの1人、Glenn Petersonは声明の中で、「これは、借りてきた図書館の本やビデオを他人がこっそり見ることとは比較にならない大きな権利侵害だ。著作権侵害の根絶を目指す最近の音楽業界の行為は、極めて現代的な問題をとても厳しい方法で解決しようとするもので、これは個人情報を利用して脅迫行為を行うという、小説『1984』の著者ジョージ・オーウェルも赤面するような行為だ」と語っている。
この匿名の女性による異議申し立ては、多数のファイル交換利用者を相手取ったRIAAの訴訟における個人の法手続としては初めての例となる。これまでは、SBC Communicationsの子会社であるPacific Bell Internet Servicesをはじめとする複数のISPや大学が、同様の手続きを行っていた。
マサチューセッツ連邦裁判所では既に、マサチューセッツ工科大学やボストン大学に対する同協会の一部召喚状に対し、法的に正しい手続きがとられておらず無効であるとの判断を下している。ただし同裁判所は、RIAAが適切な方法で召喚状を再申請することは認めている。
同21日に行われた申し立てについて、RIAAのスポークスマンから直接コメントを得ることはできなかった。だが同協会の弁護士は以前、申請した召喚状は加入者情報を保有するISPに対するものであり、加入者自身に対するものではないため、個人はこれに異議を申し立てるような法的立場にない、との見解を示している。
一方で、異例の召喚手続きを批判する側は、名誉毀損の疑いがあるなどで召喚手続きによる情報提出を求められた個人には、個人情報提出の申請に対して異議を申し立てる法的機会が与えられている、との見解を示している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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