米大手ISPが、RIAAを訴える-PtoP関連の召喚状で

 米国最大のADSL接続サービス業者が米国時間7月30日、ファイル交換を行うユーザーを狙い撃ちするレコード業界を相手に訴訟を起こし、現在展開中のキャンペーンに対して挑戦状を叩きつけた。同社は、米国レコード協会(RIAA)が同社のサービス利用者のプライバシーを侵害していると主張している。

 地域電話会社大手の米SBC Communicationsが運営するPacific Bell Internet Services(PBIS)は、RIAAが同社に送り付けた召喚状に関して、手続き上の問題で異議を唱え、何百もの召喚状が適切な手続きを踏まえずに送られてきたと主張している。しかし、PBISでは今回の訴えはあくまでも顧客のプライバシーを保護するためのものとしている。

 訴訟を起こしたPBISでは、RIAAが自らの著作権保護キャンペーンの根拠としているデジタルミレニアム著作権法(DMCA)が、米国憲法の原則となっているプライバシーの権利を侵害する可能性があるとしている。

 この訴訟によれば、PBISに送りつけられた召喚状のうち、200通以上が管轄権の異なる裁判所からのもので、これは本来ならワシントンD.C.ではなくカリフォルニア地方裁判所から提出されるべきであるという。

 またPBISは、召喚状があまりにも大雑把であり、またRIAAには1枚の召喚状で、容疑をかけられたファイル交換者について、何件もの情報をまとめて要求するることはできないはずだと述べている。

 これに対して、RIAAは、PBISの訴訟に「失望した」と反応し、問題を協議しようとPBISの親会社であるSBCに連絡をとったが、「あっさり拒否された」と語った。

 PBISは陪審による裁判を望んでおり、またRIAAの召喚状があまりにも大雑把で、本来カリフォルニアで提出されるべきものだったとの宣言が出されることを求めている。

 RIAAは7月に、ワシントンの米連邦地裁に1000通近いの召喚状の要求を提出し、教育機関やインターネットサービスプロバイダ(ISP)に対し、ピアツーピアのファイル共有サービスであるKazaaの利用者に関して、情報を公表するように要請した。

 RIAAはこの問題に関して、すでに重要な判決を勝ち取っている。この判決とは、召喚状を行使するRIAAの権利を支持するもので、著作権所有者が訴訟を起さなくても、容疑をかけられた違反者についての情報を得ることを認める、DMCAのファスト・トラック条項に基づいているが、この条項は大きな議論を巻き起こしたものだ。

 同判決によって、米Verizon Communicationsは、Kazaaを使って著作権を保護されたファイルを交換したと非難された、同社のブロードバンド接続加入者の名前の公表を余儀なくされた。この判決によって、RIAAの調査は極めてやり易くなり、召喚状が大量に送達されるようになった。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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