MP3.comとLindowsの生みの親であるMichael Robertsonが、また新たなビジネスを立ち上げた。今度は古い技術業界の秩序を大きく揺るがすことを狙い、インターネットベースの無償電話サービス提供に乗り出す。
Robertsonが個人出資する新しいベンチャー事業「SipPhone」は、1年近い準備期間を経て、米国時間の8月6日午前に発表された。社名にあるSIPは、急成長を遂げるインターネット電話ビジネスの心臓部となる技術「Session Initiation Protocol」の略だ。
この新会社は、利用者が世界中どこからでも無償で通話できるインターネットを使った電話を販売する。ただし1つ落とし穴がある。同じ技術を使った電話機にしかかけることができないため、世界中に広く普及している通常の電話とは通話できない。それでもRobertsonは、やがてこの技術が既存電話会社にとって非常に強力なライバルになると信じている。
「これにはMP3とよく似たところがあると思う。MP3は音楽のデジタル化だったが、こちらは音声通話のデジタル化だ。音楽業界を席巻したのと同様の革新が通信業界でも起こるだろう」(Robertson)
Robertsonのベンチャー事業は、ブロードバンド回線の普及とデジタル音声技術の成熟を活用し、従来の電話サービスと競合するインターネット通話プランをコンシューマーに提供しようとする新しい波の1つだ。
VonageやPacket 8といったコンシューマー向けに重点をおいた企業は、普通の電話サービスと直接競合する固定料金での無制限通話を提供しているが、SipPhoneはもっと長期的な目標を掲げている、とRobertsonは語った。
同じ技術を利用する人に限定して無償通話を提供することで、コミュニケーションにインターネットを使う機会が増えている人たちの変化を促したいのだとRobertsonは話す。同氏によると、国際電話を利用する人々や、通常の電話の代わりに携帯電話やブロードバンド回線を利用している人々が、まずはターゲットになるという。
Robertsonの会社は当初、2台の電話機を129ドル99セントで販売する。この電話は開通済みのブロードバンド回線に接続しただけで利用可能になり、電話番号は電話機にあらかじめ設定されているという。
だが、業界アナリストは、このアイデアが一部の人々には魅力に映るかもしれないが、通話先ごとに別々の電話機を使い分けたいという人は少ないだろうと述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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