ぞくぞく登場、Opteron搭載ワークステーション-米IBMなど各社から

 サンフランシスコ発――米IBMは来年、米Advanced Micro Devices(AMD)の64-bitプロセッサ、Opteronを自社ワークステーション製品に搭載する。これでAMD製品が、重要な企業向け市場に受け入れられる可能性が高まると見られている。

 AMDのMicroprocessor Business部門総合責任者であるMarty Seyerは、サンフランシスコで開催中の「LinuxWorld Conference and Expo」でのインタビューで、IBMがワークステーションにOpteronチップを搭載することに決定したと述べた。製品の詳細はまだはっきりしていないという。ワークステーションは、金融モデルの構築やコンピュータアニメーション制作などに用いられるハイエンド向けデスクトップマシン。IBMの広報担当者も、同社が来年Opteronワークステーションを発売予定だと認めている。

 情報筋によると、米Microsoftは来年第1四半期までに、Opteron用に最適化したWindowsバージョンを発売する見込みだという。また、LinuxのOpteron向けバージョンはすでに存在している。

 IBMがOpteronの採用を決めたことは、メインストリームのビジネスコンピューティング市場にAMDが進出する上で非常に重要だ、とSeyerは言う。ここ数年で、政府の諸機関や大学、小規模企業などが、AMD製プロセッサを搭載したコンピュータを購入するケースが増えてきている。なかでもOpteronは、ミシガン大学など高い計算能力を求める顧客の間で人気が高い。

 しかし、大手ブランドのコンピュータメーカーのほとんどが、米Intel製プロセッサを好んでいることなどから、企業の間ではAMDベースのコンピュータを大々的に採用するまでには至っていない。独Daimler-Chryslerや米Industrial Light and Magicなど、AMDベースのシステムを採用した企業もあるものの、AMDはまだ世間一般の企業にとっての選択肢とは言い難い状態にある。

 IBMはすでに、同社サーバへのOpteron採用を表明しており、同チップを搭載したe325というサーバを先週発売した。IBMが日本の産業技術総合研究所(AIST)のために構築しているクラスタスーパーコンピュータでは、e325が1000台以上使用される。Seyerによると、AISTクラスタは今年10月頃に稼働開始予定だという。

 Opteronチップは、32-bitと64-bit両方のソフトウェアを動かすことができる。32-bitソフトウェアは、今日ほとんどのデスクトップマシンで動作しているもので、また64-bitのものは主にハイエンド向けのUNIXマシンで使われている。64-bitモードでの動作の大きな利点は、32-bitチップの限界である4GBを越えた大容量のメモリーを扱える点にある。

 メモリーの量を増加させるとコンピュータの性能が向上する。これは、プロセッサの「近く」に保持されるデータの量が増え、ハードディスクへアクセスしてデータを読み書きする頻度を減らせるためだ。ワークステーションやパソコンでは、この点がグラフィック表示能力やゲームソフトを動かす際の性能向上につながる。複雑な変化し続ける3Dで描かれた背景や場面のデータをメモリー内に保持できるからだ。

 64-bitの処理能力が必要なアプリケーションは、いまのところごく僅かだが、AMDでは顧客が64-bitの処理能力を望むようになると予想している。「64-bitプロセッサへの需要は、すぐに増加するだろう」(Seyer)

 欧州のFujitsu-Siemensでも、Opteronワークステーションを発売することになっている。またAMDは現在、その他の大手コンピュータメーカー数社と交渉中だとSeyerは付け加えた。

 さらに、米Penguin Computingは、4プロセッササーバ(Altus 4200)と2プロセッササーバ2モデル(Altus 3200とAltus 1200)、そしてワークステーション(Tempest 2100)を今月発売する、と同社代表のAaron Ockmanは語った。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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