「PtoPを匿名で効率よく」はムリ?

 ファイル交換(PtoP)サービス利用が盛んになるにつれ、PtoPネットワークのトラフィック低下が切実な問題になりつつある。この状況を打破する新世代のPtoPツールとして、ファイル交換者からのお墨付きを受けているのがBitTorrent。しかし、そんなBitTorrentにも、さまざまな問題が待ち受けている。

 BitTorrentユーザーは先週、BitTorrentのハブとして動作していた人気サイトがいくつか閉鎖されているのを発見した。これらのサイトには「著作権保有者から法的措置を匂わせる脅しを受けた」「DoS攻撃の被害にあった」「帯域がパンク状態にある」など、様々な説明のメッセージが記載されていた。

 このようなサイト閉鎖の動きは、BitTorrentのような新世代PtoPツールにとって障害となる可能性がある。これらのツールは、それまでPtoPで人気が高かったもののダウンロードの速度低下や待ち時間がつきものだったKazaaやMorpheusに比べ、はるかに効率のよい手段として急速に普及しつつある。

 特にBitTorrentはここ数カ月、違法・合法を問わず、映画やTV番組などの様々な大容量ファイルを交換するPtoPツールとして人気を博している。KazaaやMorpheusといったPtoPソフトと異なるのは、ファイルの検索より配信に特化している点。BitTorrentはファイルをビット単位で分割して配信し、受け取ったユーザーがそのファイルを送信するハブとなる。そのため、ファイルを要求するユーザーが多ければ多いほど、ダウンロード時間が短縮することになる。

 しかし、BitTorrentを開発したプログラマーのBram Cohenは、今回のサイト閉鎖の現象にまったく動じていない。「BitTorrentは、著作権のあるファイルを身分を明かさずに交換したいユーザーにとっては都合の悪い設計になっている」(Cohen)

 CohenがBitTorrentの利用を推奨するのは、オープンソース・ソフトウェアのような、著作権のない大容量ファイルを提供する場合だという。「BitTorrentで、明らかに違法なファイルを配信するのはまったくばかげている。BitTorrentは匿名機能は備えていない。匿名性と両立しえない点が多く存在するからだ」(Cohen)

 BitTorrent技術を用いたネットワークで、ファイル交換を提供するサイトが目まぐるしく入れ替わる現象は、オンラインの世界が技術的・文化的な転換期にあることを物語っている。著作権保有者の圧力により、これまでPtoPを利用してきたユーザーは、訴訟を回避するため、プライバシー保護がより確実なネットワークを探し求めている。また、開発者は従来のPtoPネットワークの非効率性を解消する手段を開発しつつある。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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