米IBMは21日(米国時間)、顧客が十分に活用されていないハードウェアのコストを削減できる「グリッド」機能を追加した、同社のWebSphereサーバソフトウェアの新バージョンを発表した。
コンピューティンググリッドは、ネットワークでつながれたコンピュータが、複雑なタスク処理のための負荷を分散するシステム。グリッドは主に学術研究の世界で利用されていたが、IBMや米Hewlett-Packard(HP)、米Sun Microsystemsなどの各社で、商用化の取り組みを進めている。
IBMは今月中に、WebSphereソフトウェアのアップデート、WebSphereバージョン5.02を出荷する。この5.02では、管理者が相互に連結されたサーバクラスタ間の処理ジョブを調整できるようになっている。また同バージョンには、各マシンの負荷を監視する機能や、管理者がアプリケーションの応答時間の低下などあらかじめ決められた基準に基づいて、負荷を他のサーバに自動的に振り分けられるツールなども含まれている。WebSphereは、カスタムメイドのビジネスアプリケーションを稼動する、IBMのJavaベースサーバソフトウェアだ。
企業はグリッドソフトウェアを使うことにより、アイドル状態の(活用されていない)コンピュータに処理タスクを割り当てられるようになる。通常、処理の最大負荷に十分対処できるだけのコンピューティング能力を購入している企業は、ビジネスアプリケーション稼動に必要なハードウェアに過剰投資している。ところが、グリッドソフトウェアを利用してリソースをより効率的に活用すれば、購入するサーバの台数を減らしても、同じだけのタスクを達成できる。
たとえば、40台のマシンで構成されるクラスタで、2つの銀行業務用アプリケーションを稼動している場合、クラスタ内のサーバのアイドル時間を減らすことで、2つのアプリケーション稼動に必要なサーバを25台にまで減らせる。WebSphereに初めて導入されたこのグリッド機能により、企業はサーバ活用率を現状の10%から25%まで簡単に向上できる。
またIBMは、約1年後に発売予定のWebSphereの次期主要バージョンで、単一のサーバクラスタだけでなく、複数のクラスタ間でコンピューティングタスクの分散処理を行なう機能を追加する。
さらにIBMでは、自社のグリッドソフトウェアと、同社が今年ThinkDynamics買収によって得たソフトウェアの統合に積極的に取り組んでいる。ThinkDynamicsのソフトウェアは、企業がデータセンターにあるコンピューティング需要の変動に基づいて、サーバやストレージ、ソフトウェアなどのリソースを自動的に供給できるようにするもので、IBMのTivoliシステム管理製品に統合される予定だ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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