アプリケーションサーバでシェアを伸ばすWebSphere、次の戦略は?

藤本京子(CNET Japan編集部)2003年05月28日 20時59分

 日本IBMは28日、WebSphereの最新動向と、ビジネス統合ソリューションの強化およびビジネスポータルの中核となる製品のバージョンアップを発表した。

 日本IBMソフトウェア事業部WebSphere事業部長の山下晶夫氏はまず、2002年度のJavaアプリケーションサーバ市場におけるIBMのシェアがBEA Systemsを抜いて1位になったことを述べた。また、日本ではWebSphereが年々30%の売り上げ増を達成していることをあげ、「日本でもJ2EEが基盤システムのインフラとしてホットになってきた」と語る。IBMではWebSphere技術者認定制度を拡大し、初級クラスの「WebSphere Applicationアドバイザー」を新設したばかりだが、現在開催中のイベント、IBM developerWorks Live! with WebSphere2003の参加者は無料で受験することができる。

日本IBMソフトウェア事業部WebSphere事業部長の山下晶夫氏

 IBMが今回機能強化を発表したのは、ビジネスプロセスを自動化するためのビジネス統合ソリューション、WebSphere Business Integrationだ。機能強化により、通信業界や銀行、自動車業界など、11業界に向け48のソリューションテンプレートを提供するという。また、EAI(Enterprise Application Integration)ソフトウェアであるWebSphere MQ IntegratorをWebSphere Business Integration Brokersと名称変更し、LinuxやWebサービスもサポートするようになる。昨年9月に買収したHolosofx社の製品からビジネス・アクティビティ・モニタリング(BAM)機能も追加され、「ITインフラの効果的なインテグレーション実現に必要だとされている“モデル化”“統合”“結合”“監視”“管理”の5つがそろった」と山下氏は述べている。

 いっぽうビジネスポータル拡張を狙ったIBM WebSphere Everyplace Access for Multiplatforms(以下Everyplace Access)の新バージョンはV4.3。新機能としてインスタントメッセージングや位置情報サービスなどが追加されたほか、NTTドコモのiモード端末やKDDIのBrew端末にも対応する。「Wireless Enterprise Delivery Environmentというコンセプトの元、パーベイシブ環境を支えるフレームワークとなる」(山下氏)。出荷予定日は6月27日で、価格は1505万1000円。また、ユーザー数を限定したStarter Editionは442万8000円となっている。

 またIBMでは、現在まだリサーチ段階ではあるが、リッチクライアントソリューションとして「プロダクティビティーコンポーネント」という名称のコンポーネントを発表する予定だという。これは、インターネット環境が発展しThinクライアントの普及が進む中、ウェブアプリケーションが中心となる時代に向け、Visual Basicに比べると表現が限られているとされるウェブ向けにリッチなユーザーインターフェースを提供するもの。同コンポーネントを利用すれば、ブラウザのみでオフィス文書の編集が可能となる。第3四半期中に発表する製品の中に同梱される予定。

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