米Yahooは14日(米国時間)、検索サービス会社の米Overture Servicesを16億3000万ドルで買収すると発表した。Yahooはこれで、検索エンジン市場で米Microsoftや米Googleなどの企業と真っ向から競合することになる。
この買収契約で、Overtureの株式1株が、Yahoo株0.6108株と現金4.75ドルに交換される。Overtureの株式1株あたりの価値は24.63ドルとなり、11日のOverture終値を基準にすると約15%のプレミアがつくことになる。
YahooはOverture買収により、成果に応じて課金される検索事業や文脈ベースの広告を、同社ネットワーク中で発展させていける、と同社は述べた。Overtureは、YahooやMSNなどのサイト上での検索結果に関連した、広告リンクの販売を専門としている。競合検索サービス会社のGoogleも、こうした広告型検索サービス市場に参入している。
Overtureは、企業買収により検索サービスの幅を広げ、Googleに対抗してきた。Yahooも最近、Googleとより直接的に競合するアルゴリズム型検索サービス会社、米Inktomiを買収し、検索サービスで競争力を付けつつある。
さらにMicrosoftも、検索サービス市場の新たなライバルとなると見られている。同社は最近、ウェブサイトをインデックス化するソフトウェアを始動させたほか、利益の多い検索市場への進出計画の一環としてトップレベルの研究者を雇用している。
検索サービスは、Yahooのオンライン広告事業において重要な要素となっている。同社のオンライン広告事業は成長しているものの、前四半期はアナリストの予想にわずかに達しなかった。同社は従来からOvertureとの提携で大きな利益を上げており、Overtureとの提携による売上は、同社の第1四半期全売上の5分の1近くを占めた、と最近報告している。
合併後の企業はインターネット広告セクターで最大手となり、YahooはOverture買収により中小企業をターゲットとした広告販売をはるかに行いやすくなる、とYahooの最高経営責任者(CEO)Terry Semelは14日の電話会議のなかで述べた。
「Yahooは末端間の検索サービスで重要な要素を全て所有したことになる。コンシューマーは、より関連性のあるメッセージによって、広告主はより効果的な結果によって、恩恵を受けられるのだ」とSemelは話している。
Semelは、合併後の企業には、ショッピングや旅行、地域情報といったセグメントなど、主要なオンライン広告市場の機能を統合する大きなチャンスがあると述べた。
Yahooはまた、海外、とくにヨーロッパとアジアの広告市場への進出チャンスが高まっていることも指摘している。同社幹部らは、Ovetureの広告型検索事業における地位と必要な時間を考えると、Overtureに匹敵するサービスを新たに構築するよりも、同社を買収するほうが理にかなっていると述べた。
OvertureのCEO、Ted Meiselは、Yahooの利用量や利用者数、広告における強みを強調し、今回の買収契約の主な動機として、両社の機能が相互補完的であることを挙げている。Meiselは電話会議で、両社は合併による製品開発の高速化でも、恩恵を受けるだろうと述べた。
Meiselは合併後も、Yahooの最高執行責任者(COO)Dan Rosensweigの下、Overtureの事業を統括する。
米Forrester ResearchのアナリストCharlene Liは、Overtureを買収したことで、Yahooが広告主への提供サービス、特にブランド化と広告型検索において実質的に事業ポートフォリオの欠落していた部分を埋めたという点で重要だ、と話している。この買収から得られる大きな利点の1つとして、Yahooの製品リストやYellow Pageなどのサービスに、広告型検索機能を追加できることが挙げられる、とLiは言う。
「Overtureを買収するのはYahooなのか、それともMSNなのかが大きな問題だった。YahooでもMSNでも、Overture買収の意味は大きかったはずだ。ただ、すでに広告型検索市場で先進していたという意味で、Yahooのほうが適格だと私は思う」(Li)
MSNは、引き続き社内で独自の広告型検索機能を開発するだろうが、MSNがOvertureおよびInktomiと広告型検索サービス提携を結んでいるため、戦略の一部を再検討せざるを得なくなるかもしれない、とLiは指摘する。Overture買収によって、Yahooが広告方針を審査する権力が強まることを、MSNは快く思わないかもしれない、とLi。
YahooにとってOverture買収は、MSNとの競争という点で「強力な手段」だが、広告型検索市場には、YahooとMSNが共に利益を上げるだけの十分な余裕がある、とLiは見ている。Liによると、最大の問題は、ライバルのGoogleがこれら大手競合企業とどのように競争していくか、ということだという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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