ID管理インフラを構築している企業は、短期的にはコストを削減できるかもしれない。しかし、標準化戦争の敗者側に回れば、初期の利益も全て帳消しになってしまう可能性がある、とアナリストたちは警告する。
今回の警告は、米Microsoft、米Novellなどが、新たなID管理フレームワークや製品を発表する中で発せられた。Microsoftは7月上旬にMicrosoft Identity Integration Server(MIIS)2003を発売し、その数日後にはNovellがIdentity Automation Frameworkを発表した。企業160社で構成されID管理のオープンスタンダード開発を目指している標準化団体Liberty Allianceは8日、企業がID管理ポリシーを策定するためのガイドラインを発表した。米Hewlett Packard(HP)は今月、セキュリティソフト会社Baltimore Technologiesから、同社のソフトウエア製品「SelectAccess」の関連事業を買収すると発表したが、そのHPもID管理の標準策定に向けた取り組みに参加している。
アナリストたちはID管理について、投資回収率が極めて高いことがすでに証明されている数少ない技術の1つであると語る。しかし、多くの企業がそれぞれ異なるフレームワークやソリューションを発売しているのが現状で、アナリストは各企業に対し、発展途上のID管理技術の導入には慎重を期すよう注意を促している。
米RedMonkの主席アナリストJames Governorによると、ある企業のヘルプデスクには、従業員からパスワードの期限が切れた、あるいは失念したためパスワードを変更して欲しいとの電話が殺到しているという。Governorは「ヘルプデスクに電話をかけるには数ドルかかるが、仮に従業員が自分で(パスワードの変更などを)オンライン上で行うことができれば、費用はわずか(1.25豪ドル程度)で済む」と語り、さらに「(ヘルプデスクのスタッフはパスワードの変更にかかる無駄な時間を)より重要な仕事に費やすことができる」と付け加えた。
Ovumの主席アナリストGraham Titteringtonも同意見だ。「投資収益率がかなり大きいため、1年以内に投下資金を回収することも十分可能だ」(Titterington)。
しかしTitteringtonは、あまり早い時期に特定の技術に傾倒すると、逆にコストが大幅に高くつく可能性があると警告する。「どの技術が勝利するか不透明なため、ギャンブル的要素がかなり強い。『絶対に関わるな』と言うつもりはないが、あまり遠い未来のことは考えるべきではない」(Titterington)。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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