米Microsoftは2日(米国時間)、企業の社内ネットワークにおけるユーザーID管理を自動化する新ソフトウェアMicrosoft Identity Integration Server(MIIS)2003を発表した。
来月発売されるMIIS 2003は、企業でのユーザーアカウント情報の作成や管理、削除といった操作をやりやすくするためのソフトウェアだ。
企業の従業員は、さまざまなビジネスアプリケーションごとにそれぞれ別のユーザー名とパスワードを持っており、そうしたアカウントの数は数十にも上ることもめずらしくはない。MIIS 2003は、こうした情報をすべて収集し、ばらばらのユーザーアカウント情報を統一することだ、とMicrosoftでは説明している。
「顧客企業にとっては、どうすれば会社全体のユーザー情報を一目で把握できるようにするかが問題なのだ」と、MicrosoftのWindows Serverユニット主任製品責任者Michael Stephensonは述べている。
MIIS 2003の投入は、企業内や、企業間でのEコマース取引におけるユーザー認証に関して、中心的な役割を担いたいというMicrosoftの、より大規模な戦略の一環でもある。
また同社はMIIS 2003発売によって、同ソフトを稼動するのに必要なWindows Server 2003オペレーティングシステム(OS)の売上増を期待している。Microsoftは企業向け認証ソフトウェア市場で、米IBMや米Novell、米Sun Microsystemsなどのソフトウェアメーカーと競合している。
MicrosoftがMIISでターゲットとしているのは、社内ネットワーク上の企業ユーザーだ。いっぽう既存のPassportサービスは、特にオンラインショッピング向けの、一般ユーザー認証を扱っている。
MIIS製品は、同社が従来から販売しているMeta Directory製品を拡張したもの。Meta Directoryはさまざまな名簿の情報を同期させるソフトウェアだが、新規アカウント作成やパスワード設定などのユーザー認証管理を行なう設計にはなっていなかった。
MIIS 2003を利用することで、企業は新しい従業員を雇用した際、人事データベースに登録するとすぐに、さまざまなアカウントを作成できる。Stephensonによると、従業員が会社を退職するとすぐにアカウントを削除する作業も、自動化することが重要だという。企業のネットワークから元従業員のアカウントが全て削除されるまでに、数週間、数か月もかかることはしばしばある、とStephenson。
「MIIS 2003は、セキュリティリスクのある部分を本気で減らすために設計されている」(Stephenson)
MIIS 2003では、形式の異なる17種類の身元証明データの収集が可能で、このなかにはIBMのInformix、DB2、Lotus Notes、Oracleの8iと9i両データベース、NovellのeDirectoryソフトウェア、そしてLDAPディレクトリー・エクスチェンジ・プロフィールなどの形式も含まれる。Microsoftはまた、OblixやOpen Networksといった企業と共同で、ApacheやSunのウェブサーバソフトなどの上で動くウェブアプリケーション用認証プログラムの開発も進めている。
MIIS 2003には、個人ユーザーが自らのパスワードをウェブページから安全に変更できるようにするツールも含まれる。Stephensonの話では、企業のサポートデスクに寄せられる依頼のおよそ3分の1が、パスワードの再設定などID関連の事柄ということだ。
MIIS 2003はWindows上でのみ動作可能だが、ディレクトリー情報についてはUNIXやLinuxなど他のOS上で動くソフトウェアからも収集できるとStephensonは説明している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」