IOC(国際オリンピック委員会)では、2004年アテネ大会でのIT環境としてWi-Fiのセキュリティは不十分との考えを示している。
2004年の夏季オリンピックでITインフラの設計および実装を担当するチームは、セキュリティ上の懸念から構築中のネットワークにWi-Fiを採用しない。
同プロジェクトリーダーのClaude PhilippsはNews.comとのインタビューの中で、802.11bを不採用とした今回の判断は、プロジェクト関係者が同技術のセキュリティが十分であると思えなかったためだと説明した。
アテネオリンピックのITリソースを提供する契約を結んでいる、米Schlumbergerの技術統合責任者であるPhilippsは、「これほど大きな規模の大会で採用できるところまで、Wi-Fiセキュリティはまだ成熟していないというのがIOCの考えであり、われわれもそれと同意見だ。ワイヤレスはこれからのトレンドだし、将来的にはオリンピックでも採用できるようになると思うが、今回はまだ早い」と語った。
Philippsの説明によると、選手と大会に参加するVIPの両方に関する非常に機密性の高い情報がネットワーク上で伝送されるため、運営委員会にとってセキュリティは最優先事項だという。
Wi-Fiはソルトレイクシティーで開催された2002年の冬季大会でも、同様の理由からITネットワークに採用されなかった。但し、そうした判断が下されているにも関わらず、ある競技団体(バイアスロン)はこれを採用し、スプリットタイムをワイヤレスで各コーチに伝えていた。
2002年には、セキュリティ上および性能面の両方の懸念から、IOCが少なくとも2008年までWi-Fiを採用しない判断を下したとの報道があったが、これは後に訂正されている。
2004年のオリンピックに向けたITシステム構築作業は巨大プロジェクトだが、導入期限が事実上完全に固定されていることが同プロジェクトをさらに困難なものにしている。すべての準備が開会式までに整っていなければならず、導入期限を延期できる可能性は一切ない。
Philippsのチームが構築するシステムは、約1万台のデスクトップPCと850台のサーバを含む。また、ギリシャの送電システムに障害が起こり、それが大混乱を招くことを避けるため、 無停電電源装置のほかにディーゼル自家発電機も配備される予定だ。
またオープンソースソフトウェアの入り込む余地はないようで、代わりに米SunのSolaris OSが採用される。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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