独立系ブロードバンドサービスプロバイダの米Speakeasyは、ユーザー会員がミニプロバイダとなり、近隣のユーザーにワイヤレスネット接続を販売する手段を提供する。
同社が発表したNetShareプログラムでは、同社の会員が近隣ユーザーにブロードバンド接続を月額20〜100ドルで再販できる。Speakeasyは料金請求処理を行い、末端会員に独自の電子メールボックスなどISPの基本機能を提供、そして末端会員への請求金額の半分を再販会員と折半する。
「これは、Wi-Fiを草の根レベルで利用することにより、ブロードバンドの利用可能範囲を広げる素晴らしい方法だ」と、米Jupiter Researchのアナリスト、Joe Laszloは言う。「Speakeasyは、高価なDSL(デジタル加入者線)に金を払わずに、自社の顧客を増やせるだろう」
しかし一部の大手ISPでは、ワイヤレスネットワーク経由で他の家庭とブロードバンド接続を共有している顧客を取り締まろうという動きもみられるため、Speakeasyはこのプログラムを実施すると、こうしたISPと争うことになるかもしれない。
この新サービスは、技術通のいる全米の家庭で長い間行なわれてきたことを、半公式に認めることになる。ワイヤレス802.11、通称Fi-Fiは、コンピュータユーザーがネットワーク「ホットスポット」を設置して、周囲約90mの範囲の人々と中央のネット接続を共有できるようにする技術である。
Wi-Fiにより、ワイヤレスに対応したインターネットカフェやMcDonald's、そして空港や都心の公園などに、公共のホットスポットが何千も設置された。そして、近所の人や通行人にも接続を共有できるように、オープンで無制限のネットワークを開設する個人の数も、ますます増えている。
アナリストらは、Wi-Fiが、DSLやケーブル接続の代替方法や拡張方法となる可能性を指摘している。しかし大手通信会社は、既存のブロードバンド市場が失われるのを恐れ、このアイディアをほとんど推し進めていない。
インターネットユーザー全体のうち、家庭で何らかのワイヤレスネットワークをすでに導入しているのは約3%だが、Speakeasyが最近行なった顧客調査で、同社のブロードバンド契約者ではその割合が約40%に上ることが判明した。新NetShareプログラムは、この統計に刺激されて誕生した、と同社製品責任者Arnaud Gautierは話している。
この新しいプログラムでは、普通のネット接続サービス利用者が、近隣の居住者が利用するネットへの接続に関して責任を負うという、あまり馴染みのない立場に立つ。つまり、もし末端会員の家庭でネットへアクセスできなくなった際には、まずそのサービスを再販したSpeakeasyの会員へ問い合わせが来る、ということになる。
こうした問題の可能性がありながらも、Speakeasyの会員は、ネット接続を数人の隣人へ再販することで、ブロードバンド接続料金をまるまる回収できるチャンスを得ることになり、それが再販に伴う負担を相殺すると、Speakeasyでは期待している。このプログラムの参加者は、再販先の会員それぞれにいくら料金を課すかを自分で選べるが、どの末端会員も支払い金額の多寡に関係なく、Speakeasyが提供するISPサービスのすべてを利用できる。
Wi-Fi接続用機器の価格は低下してきており、上記のようなサービスを立ち上げるために必要なハードウェアであるルータとアクセスポイントを合わせても80ドル程度で購入できる。また末端会員はWi-Fiアクセス用カードを買う必要があるが、こちらは普通40ドル程度で手に入れられる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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