電話会社各社は、市内電話市場へ食い込み続けるケーブルTV会社に対抗するために、Wi-Fiサービスを武器に使いはじめた。
米国最大の電話会社Verizon Communicationsは、1000カ所の電話ボックスに据え付けたWi-Fiホットスポットのうち、150カ所を利用可能にしたと、5月13日(米国時間)に発表した。これは、同社のDSL契約ユーザーを対象にした無料サービスで、ニューヨークのマンハッタン、特にウェストサイドエリアから開始し、将来は人の往来が多い他のエリアでも実施していく予定。
今回の同社の動きは、加入者にできるだけいろいろなサービスを使わせ、それで顧客離れを防ぐとの意味合いがある。いま業界では、「顧客の解約減少」と「サービスの抱き合わせ」が合言葉になっている。
ニューヨークを本拠地にするVerizonは、Wi-Fiによる無線LAN接続サービスが、同社が抱き合わせで提供している他のサービス--市内通話、ブロードバンドのネット接続、携帯電話などに続く、新たなサービスメニューになるかを、今回の実験で確かめる。また、それが市内電話市場でシェアを伸ばしているケーブルTV会社を食い止め役に立つことを狙っている。
ケーブルTVは市内電話の利用者獲得に成功を収めてきており、現在そのシェアが場所によっては20〜30%に届きそうな勢いである。そしてそれが、低価格競争を生み出している。
「電話会社は、ケーブルTV会社に加入者を横取りされることを恐れている」と、業界紙DSL PrimeのDavid Bursteinは説明する。彼はさらに、現在は市内電話市場が競争の主戦場となっているが、これはDSLや携帯電話といった他のサービスと比べて、市内電話には3倍もの利幅があるためだという。市内電話は比較的昔からあり、新たな投資などの必要が減少して稼動コストが下がっており、その分利益を出しやすいのが、こうした現象が生じた原因だと、TeleChoiceのアナリストDanny Briereはいう。
Verizonが、同社のバンドル提供するサービスのひとつとして、Wi-Fiアクセスをメニューに加えたことは理に適っている。WiFiネットワークを構築するコストは安く、またそれがケーブルTV会社にはないユニークなアドバンテージをVerizonに与えるからだ、とBurstein。
「これは、電話会社にとって、とても大きな戦略上のアドバンテージだ。ケーブルTV会社がこれを真似ようとしたら、いちからやり直さなくてはならないだろう」とBurstein。「電話会社にとっては金がかからず簡単にできることで、今後は他の電話会社も追随するだろう」。
Bursteinは、130億ドルというVerizonの年間設備投資総額に比べると、マンハッタン全域にWi-Fiネットワークを張り巡らすための500万ドルという費用は、同社にとって痛くも痒くもないものだという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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