カーボン・ナノチューブを使ったディスプレイ開発を進める米モトローラ

 米Motorolaが新しい大型フラットパネルディスプレイの研究を行っている。同社によると、このディスプレイの価格は、既存のプラズマまたは液晶ディスプレイを下回る可能性があるという。

 この新しいディスプレイには、カーボン・ナノチューブ(CNT)が使用されている。CNTは炭素分子が並んでできた、直径1ナノメートル(10億分の1メートル)程度の細長いチューブで、今や多くの研究者が光ケーブルから抗菌コーティングに至るまで、あらゆる分野への応用の可能性を調査している。

 このディスプレイはナノ・エミッシブ・ディスプレイ(NED)と呼ばれ、Motorolaの研究部門であるMotorola Labsが開発を進めている。

 Motorola Labsの声明によると、「このNED技術により、プラズマや液晶より高品質画像のフラットパネルディスプレイをより低コストで製造できる」という。

 Motorolaは現在、同技術の商用化に向けたライセンス契約の締結を目指し、欧州やアジアの電機メーカーと交渉を進めている。

 このNED方式を採用すれば、厚さわずか1インチのフラットパネルを使った50インチ以上の大型壁掛けテレビを、低価格で製造することも可能だ。

 Motorolaは、CNTを低温で形成することに成功した。CNTは、ガラスやトランジスタなど熱に弱い素材で出来た基盤に接着しなければならないため、低温形成は重要な技術といえる。

 またMotorola Labsは、物質表面の狙った位置に、個々のCNTを正確に植え付ける手法の開発にも成功した。スペース、サイズそして長さを制御しながら、CNTを基板に直接植え付けられるようになった結果、電子放出、輝度、色純度、解像度を最適化した高品質画像の実現が可能となったという。

 CNTのフラットディスプレイへの使用については、世界中の研究者たちが研究を進めている。分子は電流を流すと電子を放出する。仮にCNTで構成され、一列に並んだ個々のセルを迅速かつ規則正しく点滅させることができれば、それらを使ってディスプレイ上に映像を映し出すことも可能になる。

 Motorola以外では、IBM Researchの科学者たちが、CNTに光を放出させる新たな方法を発見した。これはいずれ、光ファイバ技術の進歩につながる。またIBMでは、プロセッサに組み込み可能なCNTの新たな加工方法を公表した。これは今後数十年以内に、より高性能なコンピュータの開発を可能にする大きな発明となり得る。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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